株取引で学ぶ投資と投機の違い。初心者は中長期の投資がおすすめ
この記事の目次
「株取引は投資か投機か。それともギャンブルなのか」
株は投資と言う人もいれば、株なんて投機、ギャンブルと言う人もいます。
いろんな意見を聞いていると、自分はどうすればいいのか、何が正解かわからなくなりますよね。
実は投資や投機とは金融商品の取引方法、いわば使い方を意味しています。
株式という金融商品も、使い方によっては投資にも投機にも、ギャンブルにもなりえると言えるでしょう。
資産形成で大切なのは、金融商品が投資か投機かといった定義付けではありません。
金融商品との向き合い方、使い方をどうするかが重要です。
この記事では「株式」という金融商品の使い方を通じて、投資や投機、ギャンブルの違いを解説しています。
初心者におすすめの投資方法も紹介していきますので、「株式はギャンブル」と言われて悩んでいる」方は、参考にしてみてください。
1.「投資」は価値の成長に期待し、「投機」は価格変動に期待する
まずは「投資」と「投機」と「ギャンブル」の意味を見てみましょう。
投資
中長期の視点で対象商品の「資産価値の成長」に期待して資金を投じること
(例)株主優待目当てで株式を長期保有する行為
投機
短期の視点で対象商品の「資産価値の変動(利ザヤ)」に期待して資金を投じること
(例)デイトレードのように短期間で売買を繰り返し、利益を得る行為
ギャンブル
金品を賭けて勝負をすることであり、「偶然の勝利」に期待して資金を投じること
(例)競馬や競輪、オートレース。宝くじもギャンブルの一種
「投資」「投機」「ギャンブル」の違い
株式取引を例に説明します。
株式取引の場合、投資と投機、ギャンブルの違いは資金を投じる対象です。
「株式投資」では、投資家が企業の成長によって利益を得るため、対象は「企業価値」になります。
投資に要する期間に明確な定義はありませんが、企業価値が上がるまで待つ、中長期的な取引を指すのが一般的です。
次に「株式投機」の場合、投資家は短期間の株価変動によって利益を得ます。
つまり対象は「価格」です。秒単位で変動する株価の動向、相場の流れを予測して瞬時に売買を判断しなければなりません。投資と比べて投機は相場を読む能力・判断力が求められますし、リターンもリスクも高い取引と言えます。
そしてギャンブルの対象は「偶然の勝利」です。
厳密に言えばギャンブルは競馬や競輪といった賭け事を指すため、一般的には株をギャンブル・賭博とは呼びません。しかし短期の相場で勝負する投機では、損する人と得する人が出てくるため、勝つか負けるかのギャンブルと同義として語られやすいのです。
株式の売買を運任せにして利益を得ようとすれば、その行為はギャンブル的取引と言えるかもしれませんね。
しかし、「株式はギャンブルだ」と一括りにして語るのは雑な意見です。
株式がギャンブルになるかどうかは、資金を投じる人の使い方次第で変わってきます。周囲の意見に振り回されすぎないように、自分はどう向き合うか、どう使うかを考えましょう。
2.株は取引方法によって「株式投資」にも「株式投機」にもなる
ひと口に「株式」と言っても、取引方法によっては投資にも投機にもなるとお伝えしました。
企業の将来性に期待して株を買い、長い間保有する行為は「株式投資」です。
一方、株の値動きを見て1日~数週間といった短い期間で売買を繰り返す行為は「株式投機」と言えます。
投資と投機については、どちらが良い・悪いというものではありません。
金融商品の使い方・取引方法が違うだけです。
投資でも投機でも、自分のリスク許容度や価値観、資産の状況に適した方法を選択すればいいでしょう。
ただし「ギャンブルや投機は怖い」という方や「初めて株式取引をする」といった投資初心者については、最初から投機的取引をするのはおすすめしません。
投機は価格変動に期待する取引です。
株式のデイトレードは、秒単位で目まぐるしく動く世界でチャートに張り付き、瞬時に売買の決断をします。うまくいけば、50万円を短期間で100万円にできるかもしれません。しかし、取引がうまくいかなければ、一瞬で100万円の資産が50万円になる可能性もあるのです。
投機はプロでも勝ち続けるのが難しい世界。中級者以上向けの取引と言えるでしょう。
「これから資産形成を始めたい」という投資初心者の方には、まずは将来性がある物や企業に資金を投じる、中長期的な視点での投資をおすすめします。
3.初心者におすすめの中長期投資3選
資産形成の初心者には、中長期的な視点でじっくり資産を育てる投資から始めることをおすすめします。
株式で言えば、株主優待や配当金を楽しみながら企業の株式を長期保有するスタイルですね。
ここでは株式投資と、株式投資以外にも中長期で投資できる方法を紹介します。
それぞれの特性を見たうえで、ご自身に合うものを選択してください。
株式投資(バイ&ホールド)
企業の株式を長く保有して、企業価値の成長に期待する株式投資のスタイルを「バイ&ホールド」と言います。
保有中に発生する配当金や株主優待、値上がりした株式の売却益を得る投資です。
バイ&ホールドとは、買ったら売らずに保有し続けることです。
買ったら簡単には手放さないため、投資対象の銘柄は慎重に選ぶ必要があります。
企業の業績など財務状況、その分野での成長性などをつぶさに確認・分析し、将来を期待できる銘柄を選んで買いましょう。
ただし分析して選び抜いた企業の株価が必ず成長する・値上がりするとは限りません。
中長期の投資は投機よりリスクは低いですが、元本割れの可能性はあります。
元本割れリスクを減らすためには、複数の株式銘柄を購入して資産を分散させる方法が有効です。
10万円~50万円程度の余裕資金があれば、複数銘柄を購入して分散投資しやすいでしょう。
分散投資の際は国内株式だけではなく海外株式にも目を向けるようにしてください。
分散の基本は値動きが異なる物同士を組み合わせることです。国内外の資産を組み合わせて、1銘柄だけに集中投資しないように気をつけてください。
投資信託の積み立て投資
投資信託を長期で積み立てていき、将来の売却益や分配金を得る方法です。
資産価値の成長に期待して資金を投じる点は株式投資と同じと言えます。
投資信託とは、運用会社が設定したファンドに複数の資産が内包されている金融商品。
いわば金融商品のパッケージ商品です。
そのため株式に投資するファンドを1本買えば、間接的に複数の株式銘柄へ投資できるのです。
ファンドにどんな資産を入れるのか、銘柄の選定や買付は運用会社が行います。
「企業分析を1人でするのは大変」「分散投資できるほどの資金がない」という方には、プロに任せて少額で分散投資できるため、おすすめです。
多くの証券会社では投資信託の定額・定期積み立てサービスを導入しており、手軽に積み立てができる使い勝手の良さも魅力的です。
積み立てサービスを使えば、手間をかけずに中長期の積み立て投資ができるようになります。
ただし投資信託にもリスクはあります。一つのファンドで分散投資できるとはいえ、毎日価格は変動しますし、元本保証はありません。また投資信託は運用会社に運用を任せるぶん、株式投資よりも投資にかかる手数料が多くなります。
長期で投資信託を続ける際は、手数料負けしないように低コストのファンドを選ぶようにしてください。
不動産や太陽光発電ファンドへの投資
不動産や太陽光発電を投資対象とするファンドに投資して、定期的に分配金収入を得る方法です。
不動産や太陽光発電の場合、投資対象が生み出す定期的な収益(賃貸収入や売電収入)に期待して投資します。
株式のように価格の値動きは激しくないため、中長期の保有によってコツコツ収入を得ることに適した投資です。
不動産も太陽光発電設備も、安定した収入を見込める魅力的な投資対象として知られています。
しかし、これらの現物資産に投資するには数百万円~数千万円の資金が必要です。初心者が取り組むには難易度が高く、魅力を感じていても手を出せない方が多いのではないでしょうか。
その点、ファンドという仕組みを使えば、現物資産を買わずに間接的な投資が可能です。
ファンド会社が不動産や太陽光発電を運用してくれるため、手間や資金を極力かけずに収益を期待できるようになっています。
「株式だけに投資するのが不安」「幅広い資産に投資したい」という方は、こうしたファンドで株式以外の資産を持つのもよいでしょう。
ただし、ファンド会社によって、必要投資額や運用期間が異なる点には注意しましょう。
特に不動産投資ファンドは種類によって、運用期間が数年で終わるものもあります。上場している「REIT(不動産投資信託)」なら運用期間が無期限のものもあるため、長く運用したい方は運用期間を確認しておきましょう。
一方、太陽光発電ファンドはFIT制度(固定価格買取制度)の適用期間にあわせて、運用期間は20年となっているものが一般的です。
不動産投資ファンドも太陽光発電ファンドも株式や投資信託同様に元本割れリスクがあります。複数のファンドに分散して投資する、株式など他の資産と組み合わせるなどして、リスクを抑えるようにしてください。
4.まとめ
資産形成で金融商品を選ぶ時に大切なのは「この商品は投資か投機か」の定義付けではありません。
大切なのは、各金融商品の特性を理解し、自身にあわせた使い方を選ぶことです。
「株はギャンブルだ」と怖がるのではなく、ギャンブルにならない付き合い方を考えましょう。
投資も投機も取引のスタイルが違うだけで、どちらが良い・悪いとは言えません。
ただし、これから資産形成を考えている初心者に投機的な取引は難易度が高いため、まずは中長期の視点で投資に取り組むことをおすすめします。
中長期な投資の代表格は株式投資ですが、少額から始められる投資信託や、間接的に不動産や太陽光発電に投資できるファンドもあります。ご自身にあった方法で投資を始めてみましょう。