【年代別】老後資金の貯め方

 

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「老後資金の必要性はわかっているけれど、そもそも老後資金の貯め方がわからない」

このように悩む人は多いのではないでしょうか。

老後資金の適切な貯め方は、貯め始める年代や各家庭の状況によって違います。

とはいえ、ある程度の目安や考え方を知らなければ、各家庭で考えるのも難しいでしょう。

この記事では各年代にあわせた老後資金の貯め方や必要額の考え方を案内していきます。

老後資金をどうやって貯めるか悩んでいる人は参考にしてみてください。

1.【老後資金】必要額の考え方

老後資金を貯める際、最初に悩むポイントは「老後資金をいくら貯めるか」ではないでしょうか。

老後資金の必要額は各家庭の貯蓄額や退職金、持ち家の有無などで変わってきます。

一律にいくら必要といった基準はなく、各家庭のライフプランから必要額を考えていかなければなりません。

しかし就職したての若い世代や、今後の結婚や子どもの人数がわからない世代など、老後のライフプランをイメージしにくい世代もいるでしょう。

「そもそもライフプランが定まっていない」

そんな場合は老後の平均貯蓄額を参考にしてみましょう。

この記事でご紹介している高齢者世帯(世帯主の年齢が60歳以上)の平均貯蓄額は2,285万円。中央値は1,506万円です。

平均値と中央値には差があるものの、一般的に言われる老後資金のイメージとそれほどズレはない気がします。

もちろん各家庭で必要な老後資金は異なります。

しかし今後結婚するのかさえもわからない段階で、正確な老後資金の計算はできません。

まずは上記の1,500万円~2,000万円を目安に貯め始めて、結婚や子どもの人数・住宅ローンの有無が確定する時に改めて必要額を軌道修正していけばいいのです。

老後資金を貯める際に大切なのは老後資金の計算ではなく、少しでも早く貯め始めることです。

早くから始めることで、時間を味方につけて老後資金を増やしやすくなります。

「老後資金がいくら必要か?」の計算にこだわる前に、まずは貯め始めるようにしましょう。

2.老後資金の貯め方は、始める年代によって違う

老後資金の適切な貯め方は、貯め始める年代によって違います。

社会人になりたての20代前半は収入も貯蓄も少ない時期です。

仕事や生活の基盤を作るのに大変で、これから結婚するのかどうかもわからない時期ではないでしょうか。

貯蓄もライフプランも定まっていない時期ですので、リスクの高い方法で老後資金を貯めるのは得策ではありません。

30代になり、結婚して家庭を持つようになると、この先の教育費や老後資金の必要額をイメージしやすくなります。

30代なら貯蓄もあり、まだ老後まで期間もあるため、リスクをとった運用もしやすくなるでしょう。

このように年代によって収入や貯蓄額、ライフプランの定まり方は大きく変わってきます。

そのため「老後資金はどの金融商品で貯めるのがいいか」ではなく、「自身の年代やライフプランに適した貯め方は何か」を考えるといいでしょう。

次項で紹介する年代別の貯め方を参考に、ライフステージの変化にあわせて貯め方も変えていくことをおすすめします。

3.【年代別におすすめ】老後資金の貯め方

ここでは20代で就職し、30代で結婚・出産、住宅ローンを組むと仮定した際の、年代別の貯め方の具体例をまとめました。

老後資金の準備で何をすべきか悩んでいる方は参考にしてみてください。

<老後資金の貯め方 年代別の具体例>

  • 20代:元本保全性の高い預貯金や保険といった安全資産で資産の土台を作る
  • 30代:株式や不動産など、リスクをとった運用も始める。リスクが気になる場合は投資信託や投資ファンドも活用
  • 40代:家計の固定費を見直し、教育費や住宅ローンの支払いを優先したうえで老後資金を捻出する
  • 50代:老後の生活と働き方を具体的に考え、株式や投資信託などリスクのある資産・老後資金の出口を決めておく。
  • 50代以降は預貯金の割合を増やし、出口が決まっている貯蓄性保険や個人向け国債を活用する

20代はまず資産の土台を作ろう

大学を出て就職したばかりの20代はまだ収入も貯蓄も少ない年代です。

そのため20代では病気や失業・転職で働けなくなった時のために、資産の土台を作っておく必要があります。

具体的には収入保障保険や医療保険で「働けなくなった時の保障」を確保。

保険と並行して「不足の事態に対処するためのまとまった生活費(生活防衛資金)」を預貯金で用意します。

20代なら、月額数千円程度で加入できる掛け捨て型保険商品が多いです。

数千円程度の保険に入りながら毎月数万円を貯めて、月収の半年分程度の生活防衛資金を用意しましょう。そうして資産形成の下地をしっかり作ったうえで、老後資金を貯め始めるのです。

老後資金を貯められる金融商品にはiDeCoや個人年金保険があります。

しかし20代はまだまだこの先のライフプランが定まっていない年代。

老後まで資金が拘束されるiDeCoや個人年金保険は使いにくいと感じる人もいるでしょう。

そこで20代におすすめしたいのは資金の出し入れが自由な「つみたてNISA」です。

つみたてNISAは一定の要件を満たし、金融庁に届出された公募株式投資信託とETFに限られており、「長期の積立・分散投資」に適したものとなっています。

ネット証券なら100円~数千円程度で購入できる投資信託が豊富にあるため、資金に余裕のない20代でも始めやすいでしょう。

30代はリスクを取って運用してみよう

収入も貯蓄も増えて、結婚や出産によって今後のライフプランが見えてくる30代。

30代ではリスクをとって株式や不動産、太陽光発電投資などを行い、老後資金を増やせるように積極的な運用をしましょう。

30歳前後で結婚・出産する場合、子どもが小さい乳児期ならまだ共働きもしやすく、育児関連の支出もさほどかかりません。

収入をしっかり確保できるうえに支出も少なく、老後までまとまった時間もある時期が30代なのです。

資金と時間に余裕が出る時期なので、リスクをとって積極的な運用ができる絶好のタイミングと言えます。

とはいえ「リスクや初期投資費用が高いのは不安」という人もいるでしょう。

積極的な運用に不安のある人は、株式や太陽光発電設備、不動産といった資産を直接持つ方法よりも、間接的に投資できる方法をおすすめします。

間接的な投資の代表例が投資信託や投資ファンドへの投資です。

投資信託や投資ファンドの仕組みは以下のとおり。

  • 投資家の資金を使って第三者(運用会社)が株式や太陽光発電設備の運用をする
  • 運用で得た利益を投資家に分配する
  • 投資家は運用にかかる手数料を負担する分、運用にかかる手間や設備投資資金の負担を運用会社に任せられる

不特定多数の投資家の資金を集めることで運用会社は投資対象を分散させ、リスクを抑えた運用が可能です。

投資信託は、つみたてNISAやiDeCoといった非課税制度で購入できます。投資にかかる税金を抑えながら老後資金を運用できるため、節税を考えている人に適しています。

投資ファンドならまとまった資金が必要な不動産や太陽光発電への投資も気軽にできます。

初期投資額の高さが気になる人にも適しているでしょう。

40代は家計を見直そう

30代で結婚・出産すると、40代では子どもが成長して教育費や子育て費の支出が増えます。

住宅を購入していれば住宅ローンの支払いと教育費の支出が重なり、家計に余裕が出なくなる時期ではないでしょうか。

30代では投資や貯蓄で老後資金を順調に増やせていた人も、40代になると運用そのものができなくなる可能性があります。

こうした40代で大切なのは、家計を見直して不要な支出を抑えることです。

老後資金の準備の前に、まずは家計のバランスを見直し、生活をやりくりしましょう。

支出を抑える具体的な方法は保険や各種サブスクリプションサービス、通信費などの固定費の見直しです。

毎月数千円の節約でも長期で見れば大きな節約になります。

定期的に固定費を見直し、老後資金に回せる家計の余力を生み出しましょう。

例えば20代~30代で加入した保険があれば、今の家庭状況にあわせた保障内容か内容を再確認してみてください。

通常、20代と40代とではライフスタイルも家族構成も変わっているため、必要な保障額も変わってきます。

40代の自分と家族にとって最適な保障は何かを考え、状況に適した保険に見直しましょう。

また動画や音楽配信に代表される各種サブスクリプションサービスも、契約数が増えればじわじわと家計に響きます。

定期的に必要なのか見直し、家計をスリム化して不要な支出を抑えてください。

50代は保険や貯蓄の比率を高めよう

老後が差し迫ってくる50代では、子育てが一段落する人も多いでしょう。

子育て期の慌ただしい状況がようやく落ち着き、より具体的に目の前の老後生活をイメージしやすくなるはず。

こうした50代で大切なのは、60歳以降の生活や働き方を具体的に考え、運用資産の出口を考えることです。

特に投資信託や株式といったリスク性資金は、市場の動向にあわせて資産価値が変動します。

年金暮らしを始めた時に保有している株式の価値が大きく値下がりしてしまえば、「資金を使いたい時に使えない」事態になるかもしれません。

老後はいつまで働くのか、公的年金はいつから受け取るのか。保有している老後資金はいつから取り崩すのか。

老後資金を崩す時期や崩していく金額を明確にしたうえでリスク性資金の出口を考えましょう。

ただし、60代以降の人生は意外と長いです。

60歳ですべての資金を現金化するのではなく、少しずつ資金を取り崩していけるようにすれば、できる限り長く運用できるでしょう。

60代以降も運用を続ける際は、預貯金の他に個人向け国債や貯蓄型保険を活用する方法があります。

個人向け国債も貯蓄型保険も元本保全性が高く、資金の受け取り時期が決まっているため、老後資金の運用に使いやすいでしょう。

4.まとめ

20代と40代とでは、収入も貯蓄の状況も大きく異なります。

そのため老後資金の貯め方を考えるときは、ご自身と家族の状況にあわせて貯め方を変えていかなければなりません。

この記事では20代から50代までの貯め方の例を紹介しましたが、実際の人生やライフプランは一人一人違います。

「30代で絶対にこの貯め方をするべき」というわけではなく、「子育て期の貯め方の例」として案内しています。

ご紹介した年代別の貯め方例を参考に、各家庭に最適な老後資金の貯め方は何かを考えてみてください。


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