インデックスファンドかアクティブファンド、あなたはどっち?両方投資するFP投資家が解説
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投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがあり、インターネット上の口コミではインデックスファンド人気の高さが目立ちます。 ところが2021年11月15日現在、国内の投資信託5,936本のうち、インデックスファンドの設定本数は1,093本*。
設定本数は依然としてアクティブファンドのほうが多く、純資産総額の大きいファンドの上位5つはすべてアクティブファンドが占めています。
つまり販売数や取引額でいえば、まだまだアクティブファンドのほうが多数派です。
とはいえ、投資をするうえで大切なのはファンドの過去の実績や人気度ではありません。
インデックスファンドとアクティブファンドはそれぞれタイプが違うため、自分の運用方針に合うものを選ぶことが大切です。
今回はインデックスファンドとアクティブファンドの選び方について見ていきます。
*出所:「投信総合検索ライブラリー」より2021年11月15日時点のファンド情報を元に記載 (一般社団法人 投資信託協会)
1.【結論:結局は好み】インデックスファンドとアクティブファンドの選び方
筆者は「インデックスファンドとアクティブファンドはどちらが良いか」と聞かれたら「自身の運用方針や価値観に合うものを選べばいい」と答えています。
結局、どちらが良いかは好みの問題だからです。
市場平均を目指すインデックスファンドと平均以上のパフォーマンスを目指すアクティブファンドは、それぞれ運用方針が違います。違う性質のものを同列に並べてみても、優劣を正しく評価することはできません。
「アクティブファンドの多くはインデックスに勝てない」という意見もあります。
たしかに、インデックスとアクティブファンドのパフォーマンスを比較した「SPIVAⓇ」の調査によると、日本株のアクティブファンドのうち約70%はインデックスを下回っています(10年間のリターン)。
出所:「spiva-japan-year-end-2020」
しかし裏を返せば、残り30%のアクティブファンドはインデックスを上回るパフォーマンスをあげてきたということ。
良いアクティブファンドを選ぶことができれば、インデックス以上の大きなリターンを得られるのです。
もちろん、これらの数値はあくまで過去の実績です。未来がどうなるかは誰にもわかりません。投資家にできるのは過去を見て予測することだけです。
インデックスファンドかアクティブファンド、投資する前にはどちらが正解かはわかりません。ただ長く続けることを考えるのであれば、ご自身の価値観に合うものを選ぶほうが無理なく続けやすいのではないでしょうか。
筆者自身は、いろいろ試行錯誤した末に日本株はアクティブファンド、外国株はインデックスファンドへ投資しています。なぜなら、アクティブファンドはファンドが調査して厳選した特定の企業で構成されているからです。「日本だけは自分好みの企業に投資したい」と考えた結果、このようなポートフォリオになりました。
どちらに投資するか悩んでいる人は、これからお話しするインデックスファンドとアクティブファンドの違いをふまえたうえで、ご自身に合うポートフォリオを考えてみてください。
2.インデックスファンドとアクティブファンドの違い
ここでは、インデックスファンドとアクティブファンドのメリット・デメリットの違いを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット | |
インデックスファンド | ・比較的運用コストが低い ・市場平均を目指すシンプルな運用でわかりやすい ・分散投資しやすい |
・市場の動向に影響されやすい ・アクティブファンドよりファンド数は少なく、対面の証券会社・銀行では取扱い数が少ない ・短期間で大きなリターンは期待できない |
アクティブファンド | ・ファンドの種類、数が多い ・運用会社独自の理念やテーマにそった投資ができる ・良いファンドへ投資できれば、インデックス以上のリターンを期待できる |
・銘柄調査が必要なため、比較的運用コストは高め ・ファンドによって運用方針が異なるため、値動きを予測しづらい ・高いリターンを目指して運用するため、リスクも高い |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
インデックスファンドのメリット・デメリット
インデックスファンドのメリットはなんといっても「低コストでわかりやすいシンプルな運用方針」にあります。
インデックスファンドの投資先はベンチマークとなるインデックスに採用されている銘柄です。運用会社が独自に銘柄選定するわけではなく、機械的に複数の銘柄へ投資して市場平均を目指します。そのため運用コストは低く、投資家にとってはコストも手間もかけずに市場全体に投資できる点が魅力的です。
運用会社の意思や判断が介在せず機械的に平均リターンを狙える方法のため、投資を合理的にすすめたい人にはこれ以上ないメリットと言えるでしょう。
しかし、こうした特性ゆえに「投資に面白みがない」とも言える点がインデックスファンドのデメリットです。あくまで平均を取りにいく方法なので、投資先にこだわったり工夫したりして、短期で大きなリターンを得ることはできません。そのため、投資していくうちにつまらないと感じてしまう人もいるでしょう。
アクティブファンドのメリット・デメリット
一方で、アクティブファンドのメリットは独自運用のため、種類が豊富で投資先を選ぶ楽しさがある点です。
アクティブファンドはファンドごとに独自の運用方針が設定されています。ファンド・マネージャーは運用方針にそって独自の銘柄調査を行い、特定の企業だけを投資先に含めていきます。
インデックスファンドとは違い徹底した調査が行われるため、どうしても運用コストが高くなる点がデメリットです。また、こだわりをもって運用しているからといって、すべてのファンドでリターンを高くできる保証はありません。
コストはかかっても平均以上のリターンを狙いたい人や投資先にこだわりたい人にとっては、楽しみながら投資できる点は大きな魅力と言えるでしょう。
3.インデックスファンドが向いている人
シンプルなインデックスファンドが向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 投資に極力手間やコストをかけたくない
- 投資初心者なので、難しい運用は理解できない
- 投資先に大きなこだわりはない
- リターンを求めるよりもリスク対策を徹底したい
つまり、リスク対策重視で堅実にリターンを積み上げたい方はインデックスファンドが向いています。
インデックスファンドの運用は、ベンチマークであるインデックスをひたすら追いかける機械的な運用です。仕事が忙しく投資に極力大きな時間をかけたくない人や投資初心者で複雑な運用は避けたい人は、インデックスファンドへの投資をおすすめします。
4.アクティブファンドが向いている人
一方、アクティブファンドが向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 投資先の銘柄や投資のテーマにこだわりたい
- 理念や運用方針に共感できるファンドに投資したい
- リスクをとって高いリターンを期待したい
- 良い運用会社を見つけて投資したい
つまり、アクティブファンドは投資に自分なりのこだわりを持って楽しみながらリターンを高めたい人に向いています。
特に「始めはインデックスファンドに投資をしていたけれど、投資になれていくうちに投資先の銘柄にこだわりたくなった」という人は、意外と多いのではないでしょうか。
投資になれていくと、何かしら自分のこだわりを反映させたくなるもの。理念をもって運用している運用会社を応援したい、という気持ちが出てくる人もいるでしょう。
投資について何かしたらこだわりが出てきたら、ポートフォリオの一部をアクティブファンドにするのも一つの方法です。
投資信託への投資で一番大切なことは、投資対象のファンドが成長するまでコツコツと長く続けることです。インデックスファンドかアクティブファンドの優劣よりもまずは「自身の好みや価値観に適したファンドはどちらか?」「どちらが続けやすいか?」を考えてみてください。
5.まとめ
投資信託を始めるときにインデックスファンドかアクティブファンドかで迷ったら、自分が理解しやすい運用方法のものから始めましょう。
初心者には、ベンチマークに連動して市場平均を目指すインデックスファンドが理解しやすいと思います。
運用になれてきたら投資先をもっと選んだり、テーマにこだわったりしたくなることもあるでしょう。投資に面白みや楽しさを求めるようになってきたらアクティブファンドを始めてみてもいいかもしれません。
機械的な運用でシンプルなインデックスファンドと、運用会社の独自運用でリターンを求めるアクティブファンド。それぞれタイプが異なるため、どちらが優れているとは言えません。
大切なのはご自身の価値観にあっていて、続けやすいかどうかです。
「自分にとって無理なく投資を続けられるファンドは何か?」という視点で適したファンドを選びましょう。