貯金をしても不安になる?「貯めるだけ」を卒業してお金を増やす考え方

 

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貯金をしても不安になる場合、いくつかの理由が考えられます。

その理由を明らかにして対処しない限り、どれだけ貯金をしても不安は消えないでしょう。

「もっとお金が増えれば不安はなくなるはず」と思っていても、預金残高が増えるだけで解決するケースばかりではないのです。

ここでは、不安要素を減らしながら貯金する方法についてご説明します。また貯金からのステップアップとして、お金を増やすためにできることをご紹介します。

1.貯金をしても不安になる理由とは

貯金をしても不安になる背景として、考えられる理由には以下が挙げられます。

  • 貯金する目的が明確ではない
  • 目的実現のために必要な貯金額を計算していない

要するに「何のために、どのくらい貯金すべきか明確になっていない場合」には不安になりやすいと考えられます。

このような状態のままでは、貯金額を増やしても漠然とした不安に悩まされる可能性があるため、まずは貯金の目的を明確にするところから始めてみましょう。

1-1.貯金の目的

まず貯金すべき金額の基準となる、貯金の目的を明確にします。ぼんやりとした目的を立てるのではなく、いつ・どうなったときに使うお金を貯めるのか決めてみてください。

  • 万が一、失職しても1年間は生活できるように貯金する
  • 定年退職後に100歳まで安心して暮らすために貯金する
  • 3年後に家族・旧友を招いて結婚式を挙げるために貯金する
  • 子どもが20歳を迎えたとき、新車の購入費用を贈与するために貯金する

貯金の動機は人それぞれですが、いくつか動機が思い浮かぶ場合には、もっともネガティブな動機を目的にすることをおすすめします。

「結婚式を挙げる」や「子どもを祝うために贈与する」といったポジティブな動機は、時期をずらしたり金額を減らしたりコントロールしやすい特性があります。

一方、失職や定年退職の不安を解消するなどのネガティブな動機は、時期を予想できない・自らの意思で避けられないといった傾向にあるのです。

そのため、複数動機が思い浮かぶ場合には「ネガティブな動機が不安の要因である可能性が高い」と判断し、これを貯金の目的にすることで効果的に対処できます。

1-2.目的達成に必要な貯金額はいくら?

貯金の目的を明確にしたあとは、目的達成のために必要な貯金額を計算します。

目標値を決めておけば目的の何%まで貯金できているのか把握しやすいため「いつまで貯金すれば良いのだろう」と先の見えない毎日を過ごすことはなくなります。

貯金の目的 目的達成に必要な貯金額
失職後、1年間の生活費確保 1か月あたりの生活費×12か月分
定年後、100歳までの生活費確保 1年あたりの生活費×40年分
3年後に結婚式を挙げる際の費用確保 希望する式場・規模の挙式における相場費用
子どもに贈与する新車購入費の確保 希望する車種における新車の相場費用

上記のように必要貯金額を明らかにしたあと、その金額をいつまでに貯めたいのか期間を決めることで、1か月に何円貯金すべきなのか算出できます。

2.必要貯金額を超えるお金は「増やす運用」に充てる

必要となる貯金額を明らかにしたり、すでに必要額を貯めていたりするにもかかわらず不安が消えない場合、以下のような懸念を抱いている可能性があります。

  • いつか、さらに必要な貯金額が増えそう
  • 今後インフレによりお金の価値が下がりそう

いまは確証がないものの、もしかすると近い将来に「子どもに新たな学習塾を通わせる」「親に本格的な介護が必要になる」といったイベントが起こるかもしれません。

このようなケースでは唐突に必要貯金額が増えることになるため、潜在意識がそれらをリスクとして捉えている可能性があります。

また、2021年には一部先進国や途上国でインフレ率の上昇が起こり、同年11月に米連邦準備理事会(FRB)が公表した報告書によると、金融市場参加者は最大の懸念としてパンデミックではなく「インフレ率の上昇」を挙げました。このようなニュースが続けば、インフレによる貨幣価値の低下が気になるものです。

これらの懸念を解消するためには、自分の頑張りに依存する貯金ではなく、資産の預入先にお金を増やしてもらう投資の実践が重要となります。

2-1.覚えておきたい「貯金」と「投資」の違い

投資は自分の頑張りに頼らずお金を増やせる魅力的な方法ですが、貯金と比較して劣っている点もあります。

  • 将来的な資産額を予想できず、元本割れする可能性もある
  • 流動性に乏しく短期的な入出金に不向き

どのような投資先であっても確実に利益を得られるわけではないため、投資によって将来的にどのくらいの資産額を手にしているのか予測することはほぼ不可能です。

また、損失が生じたために資産額が元手を下回る「元本割れ」を起こす可能性もあります。

そのほか、基本的に金融商品は即日換金して出金することが難しく、比較的流動性が高い株式であっても売却してから現金化するまでに3営業日かかります。即時出金できるATMのように気軽にお金を手元に引き出せないため、すぐに動かす必要のあるお金を投資に充てることは避けるべきです。

2-2.貯金と投資の比率はどのくらいが理想的?

貯金と投資を並行して実践するとき、それぞれの比率をどうするかが課題として挙がります。しかし、投資を始めたばかりの時期は、比率ではなく「完全な余剰資金」を元手として投資に充てることをおすすめします。

前述の通り、投資に充てた元手は運用当初を下回る可能性があり、すぐ出金できないため今後しばらく手元になくても困らないお金を投資資金とすべきです。

資産を増やすために投資を実践することになりますが、気持ちの在り方としては「なくなっても良いと思って投資できる」という状態が理想です。

3.貯金からのステップアップに最適な投資とは?

貯金からのステップアップとして投資を始める場合、いきなり大きなリターンを狙って金融商品を選ぶことはおすすめしません。

投資の世界においてリスクとリターンは相関関係にあり、短期間のうちに多額の利益を生むような金融商品は、同じくらい多額の損失を生む可能性があると考えられているからです。

誰しも、できる限り短期的に大きな金額を稼ぎたいと思うものですが、ハイリスク・ハイリターンな金融商品を選べばこれまでに蓄えた貯金を失いかねません。

そのため、最初に選ぶ金融商品としては以下に挙げたものを推奨します。

比較的リスクの低い金融商品 どのような金融商品なのか
投資信託 1口数百円から、専門家に資産運用を一任できる金融商品
単元未満株 1口数千円から、好きな企業に少額投資できる金融商品
株主優待・配当金が設定された株式 運用するだけで定期的にリターンを得られる金融商品

それぞれ、数百円~数万円の投資資金を用意すれば始められます。

3-1.投資信託

投資信託は、数百円から運用できる金融商品の1つ。ファンドマネージャーと呼ばれる資産運用のプロに資金を預け、株式・債券への投資を行ってもらう仕組みです。

たとえばアメリカ株式を運用する投資信託を購入した場合、アメリカの経済情勢に応じて保有する投資信託の価格も上下します。そのため、アメリカが好景気になれば投資家自身の資産額も増え、その反対が起これば資産額は減るイメージです。

また、投資信託に活用できる税制優遇制度「つみたてNISA」を活用することで、通常利益に20%の税金が課せられるところを非課税にできます。

まとめると、投資信託は投資先の細かな分析・売買を必要とせず、税制優遇制度を活用できることに魅力を感じる場合におすすめできる金融商品です。

3-2.単元未満株

通常、株式の最低取引単位は100株以上であるため、1株1,000円の株式であっても投資費用として10万円(1,000円×100株)が必要となります。

しかし、一部の証券会社では「単元未満株取引」と呼ばれる仕組みを導入しており、これを活用すると1株単位で株式を購入することが可能です。

投資信託の場合、投資先となる株式・債券はファンドマネージャーによって決定されるため、特定の企業を選んで投資をできません。一方、単元未満株取引を活用すれば、少額から特定の企業に絞って投資ができるのです。

また、1株ずつ購入できることを活かし、大きなリスクを取らずにさまざまな企業の株式を買い集められます。単元未満株取引は、投資先を自ら選びたい投資初心者におすすめの金融商品だといえるでしょう。

3-3.株主優待・配当金が設定された株式

一部、自社に投資してくれた投資家に対して、株主優待や配当金を還元する企業があります。このような企業の株式を購入すると、株式を保有するだけで定期的に物品や金銭を得られるため、こまめな分析やトレードに苦手意識がある場合でも安心して運用できます。

なお、配当金は100株未満の保有でも受け取れますが、株主優待は受け取り条件として100株以上が指定されているケースも多いため、単元未満株取引を利用しつつ株主優待・配当金を獲得したい場合には留意してください。

株式投資の基礎知識は、以下の記事にまとめています。単元未満株取引を実践する場合も、株主優待・配当金狙いの株式取引を実践する場合も、必要となる基礎知識は同じであるため手引き書としてご活用ください。

4.まとめ

貯金をしても不安が消えない場合、貯金をする目的や必要貯金額が明確になっていない可能性があります。

まずは「なぜ貯めるのか」や「いつまでに何円貯蓄するのか」を具体的に書き出してみてください。

それでも不安が消えない場合には、単にお金を貯めるだけではなく増やすことも検討してみてください。

本記事では紹介していませんが、弊社が提供する金融商品『ソライチファンド』も手間をかけずに資産運用を行う選択肢の1つです。投資信託や単元未満株の運用を経て、より一歩大きな投資に関心を抱いたときには運用をご検討ください。


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