投資詐欺の手口とは?具体的な事例と詐欺を疑うべきセリフ・注意点を解説

 

この記事の目次

近年、投資詐欺の手口が複雑になり、あらゆる場面で被害が発生しています。

「投資詐欺はお金持ちだけに話が回ってくるもの。自分には関係ない」

そう思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし投資詐欺は、決して一部の人にだけある話ではありません。

マッチングアプリなど、オンラインで簡単に人とつながれる時代になっているからこそ、「投資詐欺は誰にでも起こりうる」認識を持つことが大切です。

この記事では、さまざまな投資詐欺の手口を紹介していきます。

代表的な手口を知り、「うまい話」には気をつけるようにしてください。

1.投資詐欺とは?代表的な手口を3つ紹介

「確実に儲かるから」と言葉巧みに投資をさせ、金銭をだまし取る詐欺的な勧誘が投資詐欺です。

特に多いのが、株や社債といった身近な金融商品を利用した投資詐欺です。

日本証券業協会によれば、代表的な手口は「劇場型」「名義貸し型」「被害回復型」の3つ。

それぞれ、具体例とあわせて解説していきましょう。

もし現在、詐欺と疑われる取引を持ち掛けられている方は、以下の相談窓口を利用するか、最寄りの警察署に相談してください。

▼相談窓口▼ 金融庁相談窓口「金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!」

https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html

金融庁指定紛争解決機関「証券・金融商品あっせん相談センター」

https://www.finmac.or.jp/

金融取引に関する苦情相談窓口一覧(関東財務局)

http://kantou.mof.go.jp/kinyuu/jyouhou/madoguchi.htm

※関東以外の財務局窓口はこちらのリンクからお探しください

https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/zaimud.htm

1-1.【劇場型】

複数の登場人物が出てきて投資話を信用させる、巧妙な手口が「劇場型」の投資詐欺です。

演劇のように周到に練られた計画で話が進みますが、投資話に関わる人物や企業はすべて裏でつながっています。

関わる人が多いぶん詐欺だと気付きにくい手口なので、十分に気をつけてください。

<劇場型 投資詐欺の具体例>

ある有名証券会社に勤める証券マンから「上場予定のA社の株を買いませんか」と未公開株の話を提案されます。

もちろん提案された時点では「そんなうまい話があるわけない」と思っていました。

しかし、別の証券会社からも同様の話をされました。

どちらの証券会社も、実在する会社で有名です。

次第に「複数の有名証券会社が言っているのだから、A社の上場は本当なのかもしれない」と信じるようになり、A社の未公開株を購入します。

しかし実際にA社の株を購入した後、どの証券会社とも連絡がつきません。

インターネットや新聞でもA社上場に関する情報はなく、よく調べてみたら、A社そのものが実態のない会社だと気付きました。

このように複数の業者が出てきて、「うまい話」を信用させるのが劇場型です。

上記の例では実在の証券会社名を名乗っていますが、名前を名乗るだけ、名刺を作るだけであれば誰でもできます。

「有名企業だから」と、肩書や企業名で判断しないことが大切です。

実際、未公開株が上場されたとしても、値上がりして利益が得られる保証はありません。

「未公開株だから儲けられる」わけではないのです。

複数の人や業者から同じタイミングで取引の勧誘を受けても、まずは対象の金融商品や取引相手を徹底的に調べるようにしてください。

1-2.【名義貸し型】

金融商品の購入権利名義を貸してほしいと言われ、しぶしぶ応じた人に対して「違法行為だ」といって金銭をだまし取る手口が、「名義貸し型」の投資詐欺です。

断れないような形で強引に名義貸しをさせられるほか、知らない間に名義貸しの当事者にされるケースもあります。

どちらにしても、その後に公的機関の職員を名乗る人が出てきて、法令違反を理由に金銭を要求されるパターンが多いので気をつけましょう。

<名義貸し型 投資詐欺の具体例>

ある日突然、金融庁の職員を名乗る人から電話で連絡がありました。

「〇〇証券で名義貸しをしていた事実が発覚しました。名義貸しは法令違反です」と言われます。

「たしかに○○証券に口座を持っているけど、名義貸しなんてしていない」そう思っていたら、〇〇証券からも名義貸しについて連絡がありました。

気付かない間に名義貸しのトラブルに巻き込まれていたと不安になり、金融庁の職員を名乗る人に解決する方法はないか相談します。

そこで、解決する名目の手数料と称して金銭を要求されてしまうのです。

投資話や名義貸しに関わらず、金融庁や警察といった公的機関を装い、金銭を要求する犯罪は数多くあります。

それだけ多くの方が公的機関を信用しているのでしょう。

しかし公的機関の人間が、トラブル解決の名目で金銭を要求することはまずありえません。また証券会社では、名義貸しによる取引は禁止されています。

どんな理由があろうと名義貸しには同意しないこと、知らないところで名義が不正利用されていた場合でも、焦らずに事実を突き止めること。そして1人で抱え込まず、ご紹介した相談窓口や警察署へ速やかに相談してください。

1-3.【被害回復型】

過去になんらかの投資詐欺にあった方に対して損失を取り戻せるように装い、さらに金銭をだまし取る手口が「被害回復型」の投資詐欺です。

<被害回復型 投資詐欺の具体例>

未公開株の購入で被害にあった後、「〇〇社への集団訴訟を準備しています。あなたも参加して損失を取り戻しませんか?」という誘いを受けます。

話を聞くと相手も同じ〇〇社から詐欺被害にあったようで、境遇が同じことからすっかり意気投合します。

しかし訴訟には費用がかかるため、準備に対する手数料が必要です。

手数料に対し「高いな」と思いつつも、同じ被害者の方とあわせて支払うのでまだ割安だと聞き、支払ってしまいます。

しかし支払った後日、訴訟を準備していた相手と連絡が取れなくなってしまうのです。

被害にあってダメージを受けている方に救いの手を差し伸べ、信用させるのが被害回復型の典型的な手口です。

また詐欺業者の間で過去の被害者名簿が出回っているという話も聞かれます。

一度被害にあわれた方は、再度詐欺のターゲットにされる可能性があります。

自分1人で判断しないように気をつけ、困ったときは必ず他の人や公的機関に相談してください。

2.【注意】未公開株や私募社債、ファンドの取引で投資詐欺が多発

先述した未公開株を筆頭に、私募債やファンド型投資商品による投資詐欺が多発しています。

投資詐欺から身を守るためには、こうした「詐欺で使われやすい金融商品」の特徴を知っておくことが大切です。

以下の表に特徴と注意点をまとめましたので、詐欺から身を防ぐために覚えておきましょう。

  商品の特徴 注意点
未公開株(非上場株式) 証券取引所に上場していない、市場には出回っていない株式のこと 未公開株を販売できるのは未公開株の発行会社か証券会社だけ
通常、発行会社や証券会社が一般の投資家に未公開株取引の話をすることはない(※証券会社においては、販売規制がある)
私募社債(少人数私募債) 一般の会社が、少数の投資家を対象に発行する社債のこと 通常、私募社債は経営者の身内などごく一部の間で発行されている。一般の投資家に対し、急に私募社債の話が出てくることは考えにくい
ファンド型投資商品 資産運用のプロ(運用会社)が、投資家から集めた資金で資産運用し、その運用成果を投資家に分配する仕組みの投資商品を指すことが多い 「新規事業への出資で大きなリターンを得られる」と言って実態のわからないファンドへの投資を勧誘するケースが多い。しかしエンジェル投資家ではない一般の投資家に、急に新規事業への出資話が出てくることは考えにくい

※「ファンド」の定義はあいまいなため、一般的な商品の特徴を記載しています

どの商品にも共通するのが、「一般の市場に出回っておらず、クローズドな環境でやり取りされていることが多い」点です。

裏を返せば、そうした一部の人しか知らない投資話が、一般の投資家に急に持ち上がるほうが不自然ではないでしょうか。

「急な儲け話」には、なんらかの裏があると疑ってかかるのが賢明です。

投資詐欺のよくある手口は、本当は存在しない会社・実態のない会社への株・社債・ファンドに投資させることです。

対象となる会社をよく調べ、少しでも気になった際は先ほど紹介した相談窓口や、警察に相談してください。

※未公開株について、新規上場予定の会社情報は以下のページで確認できます。

こちらもあわせて確認しておきましょう。

▼新規上場会社情報▼

https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/index.html

3.投資詐欺を疑ったほうがいい勧誘のセリフ3つ

投資詐欺は意外と、身近なところに潜んでいます。

「自分だけはまさか」と思うかもしれませんが、毎年のようにどこかで誰かが被害者になっているのが事実です。

特に以下3つのセリフを聞いたら、まず投資詐欺を疑うようにしてください。

<投資詐欺を疑うべきセリフ3つ>

「この株を買えば絶対に儲かります」

「あなただけに特別に教えます」

「投資するなら今しかありません」

投資において「絶対」や「確実」はありません。

もし仮に、絶対に儲かる投資があったら、なぜわざわざ「あなただけ」に勧誘するのでしょうか。

儲かる話を赤の他人に持ち掛ける行為は、どう考えても不自然です。

また「今しかない」と焦らせて資金を出させる方法も、詐欺の常とう手段です。

焦って自分1人で判断せず、少しでもおかしいと思ったら必ず周囲の人間や公的機関に相談してください。

4.まとめ

オンラインで人と簡単に出会えるようになり、詐欺師たちはあらゆる場面で投資詐欺の対象を探しています。

いつどこで、あなたが詐欺の対象になるかわかりません。

投資の経験がある・ないにかかわらず、どんな方でも投資詐欺にあう可能性があるのです。

特に未公開株や私募社債など、クローズドな環境で取引されている金融商品は投資詐欺に使われることが多いので要注意です。

こうした金融商品を「急に」「複数人」から「同じタイミング」で持ち掛けられたら気をつけてください。

急に出てきた「うまい話」「儲け話」にはまず疑ってかかり、自分1人で判断せずに周囲や公的機関に相談することが大切です。


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