災害時の備えは十分?対策チェックリストで今すぐ確認
この記事の目次
昨今は台風や豪雨などの異常気象が多く、災害対策の重要性が増しています。
環境省が令和元年に公開した「気候変動の影響について」によると、今後は以下のような状況が起こり得ると考えられているようです。
- 台風の出現頻度が増加
- 短時間豪雨の発生回数と降水量が増加
- 総降雨量が増加
1.避難時に持ち出す飲食料・グッズのチェックリスト
大災害が起こったとき、ライフラインが途絶したり食糧調達が難しくなったりする事態が想定されます。そのため、飲料水・非常食・日用品を非常時に持ち出せるよう、防災セットを用意しておきましょう。
まず、防災セットの準備を行ううえで押さえておきたいポイントは以下の通りです。
- 防災リュックは1人につき1つ用意する
- 季節の節目に防災セットを見直す
とくに「防災リュックは1人につき1つ用意する」と「季節の節目に防災セットを見直す」は見落としがちなポイントです。
防災リュック1つに全員分の必要物をまとめた場合、それを背負う人は身動きが取りづらくなります。
また、夏に持ち出したい日用品と冬に持ち出したい日用品は異なりますから、衣替えの時期に防災セットの中身は見直すことをおすすめします。
防災リュックに入れる準備物のチェックリスト | |
飲食料 | 水・食料(そのまま食べられるもの、水だけで調理できるもの) |
装備品 | ヘルメットや防災ずきん・軍手・雨具 |
衣服類 | 季節に応じた衣服・下着 |
日用品 | 救急用品(常備薬や絆創膏)・衛生用品(タオルや歯ブラシ) |
防災グッズ | 懐中電灯・携帯ラジオ・マルチツール・ブランケット |
その他 | 最低限の現金・モバイルバッテリー・使い捨てカイロ |
これらを基本セットとして、家族がそれぞれ「自分のために必要なもの」を防災リュックに入れておけば、避難後の過ごしやすさが向上します。
すべての人に必要とは限らないものの、家族構成によっては避難後に重要となるアイテムとして、下記が挙げられます。
場合によって重要になる主な準備物の例 | |
小さな子どもに必要なもの | おむつ・ミルクや離乳食・遊び道具 |
高齢者に必要なもの | 携帯用杖・補聴器の電池・大人用おむつ |
女性に必要なもの | 生理用品・髪留め・スキンケア用品 |
感染対策に必要なもの | マスク・消毒用アルコール・ウェットティッシュ |
このほか、家族内で災害時に欠かせないものを話し合い、それぞれが万全な状態の防災リュックを用意できれば理想的です。
また財布や通帳、運転免許証やマイナンバーカードなど貴重品に分類されるものは、いざというとき即持ち出せるよう決まった場所へ置いておく習慣を付けておきたいところです。
2.家庭でできる災害対策のチェックリスト
家庭でできる災害時の主な備えとしては以下が挙げられます。
- 備蓄品の用意
- 家庭内の啓発
- 家具の耐震対策
- 避難後の連絡手段を決定
自然災害が起こったとき、少しでも安全かつ快適な環境で過ごせるよう、それぞれのポイントをチェックしてください。
2-1.備蓄品の用意
被災時は避難所へ向かうことがセオリーではありますが、場合によっては自宅内で待機するよう呼びかけられるケースもあります。
その際、自宅での待機を少しでも安全で快適な時間にするため、以下のような備蓄品を用意しておくことが推奨されます。
備蓄品のチェックリスト | |
飲食料 | 水・保存期間が長い食料 |
生活用品 | ティッシュ・トイレットペーパー・ゴミ袋・携帯用トイレ |
その他 | カセットコンロ・ポータブル電源・ソーラー発電機 |
災害の規模によっては水道や電気、ガスなどのライフラインが途絶する可能性も考えられるため、それらが途絶えてしまっても一定の快適性が保たれるような準備が大切です。
首相官邸が公開するチェックリストでは最低3日、できれば1週間分に相当する飲食料を家族分用意することが推奨されています。
2-2.家庭内の啓発
災害時に極度のパニックを起こし、準備した防災グッズを活用できないリスクを考慮して、あらかじめ家庭内で「災害が起こったときどうするのか」を話し合っておきましょう。
定期的に話し合いの機会を設けても良いですし、国内外の災害ニュースを見たときに「こんな災害がいまここで起こったらどうするか」と問題提起すれば、比較的容易に話し合いのきっかけを作れます。
学生時代の防災訓練のように、災害が起こったと仮定して避難や自宅待機のシミュレーションを行うことも有効です。
まったく心の準備をしていない状態と、普段から多少の緊張感を持って過ごしている状態では、災害時の対応のスムーズさは違うはずです。
ぜひ、機会を設けて災害時の行動について話し合ってみてください。
2-3.家具の耐震対策
日本は地震大国として知られているため、災害対策は大きな地震が起こることも想定して行うべきでしょう。
積極的に実施したい家具の耐震対策には、以下のような取り組みが挙げられます。
- 背丈の低い家具を選ぶ
- 転倒防止金具を使用する
- 出入口付近に家具を置かない
- 重い物は下に、軽い物は上に収納する
家具は大きく、世帯によっては設置数も多いため、対策にはある程度の手間と時間を要します。
「重要性は認識しつつも対策ができていない」というケースは珍しくないため、家庭内の啓発とセットで耐震対策も行うようおすすめします。
地震時の負傷に関する調査によると、負傷原因の30~50%は家具類の転倒や落下によるものですから、家具の耐震対策だけでも多くの危険を避けられるはずです。
出典:東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」
家具が転倒すれば出入口や通路がふさがれるほか、つまずいて転倒したり破損した食器を踏んだり、避難の妨げやさまざまなケガの原因となります。また、家具の転倒によって調理器具や暖房器具の電源が付き、火災を招く可能性も指摘されているため、家具の耐震対策は必要不可欠です。
2-4.避難後の連絡手段を決定
備蓄品を用意し、すぐ持ち出せる防災リュックを準備していたとしても、必ず家族全員が一緒に自宅待機や避難行動を取れるわけではありません。外出しており、それぞれがバラバラに避難行動を取らなければならない可能性もあるからです。
そのようなケースを想定して、非常時の連絡手段を決めておくことをおすすめします。スマートフォンが普及しているとはいえ、避難後に必ず家族と連絡を取れる保証はないからです。
可能であれば固定電話や携帯電話により直接連絡を取ることが理想ですが、避難後に通常の連絡手段が使えないことも想定し、以下のような手段の検討が望ましいでしょう。
- 災害用伝言ダイヤルを使用する
- 災害用伝言板を使用する
非常時に安全を確保し、ケガのリスクや命の危険から身を遠ざけるために、ぜひ1つでも多く実践してみてください。
3.実は7割が未対策?調査から分かった「停電時に困ったこと」
停電はどのような災害にも付きまとうリスクです。
しかし、停電未経験者にとって「長時間の停電時に困ること」は正しく認識されていないことが、パナソニックの調査資料「もしもの備え白書 防災意識アンケート2021」から判明しました。
もしもの備え白書では、停電経験者から「長時間停電の発生時に困ったこと」の回答を、停電未経験者から「長時間停電の発生時に困りそうなこと」の回答を集めています。両者の回答から、リスクの大きさを見誤りがちなポイントが判明しました。
たとえば、冷蔵庫が止まることに対して停電経験者の57.4%が「困った」と回答した一方、「困りそう」と回答した停電未経験者は40.5%にとどまりました。リスク評価のあいだに16.9%のギャップが生じているのです。
冷蔵庫が止まることを含めて、停電経験者と未経験者の回答に10%以上の大差があった項目は以下の通りです。
リスクを見誤りがちなポイント | 停電未経験者のリスク評価 |
冷蔵庫が止まる | 経験者より16.9%の過小評価 |
照明が使えず、部屋が暗い | 経験者より30%の過小評価 |
テレビが使えず困った | 経験者より23.2%の過小評価 |
照明器具が使えず困った | 経験者より18.2%の過小評価 |
電子レンジが使えず困った | 経験者より16.5%の過小評価 |
電気炊飯器が使えず困った | 経験者より13.6%の過小評価 |
参考:Panasonic「もしもの備え白書 防災意識アンケート2021」
これらを参考にすれば、災害対策を行うとき「何を見落としがちなのか」を意識して準備を進められます。
4.異常気象を減らすための取り組みにも関心を!
自然災害のうち、大型台風や豪雨など異常気象に分類されるものは、地球温暖化が関係していると考えられています。
ご存知の通り、地球温暖化は二酸化炭素などの温室効果ガスによって引き起こされます。そのため、長期的な観点から災害対策を考えるなら、二酸化炭素の削減にも目を向けることが大切なのです。
昨今、多くのメディアや識者が脱炭素(温室効果ガスの排出量ゼロ)の重要性を説いていますが、その背景には異常気象の多発も関わっています。自宅の災害対策を終えたあとには、ぜひ温暖化対策にも目を向けてみてください。
弊社では、地球温暖化に関する情報コンテンツを発信するとともに、資産運用と再エネ普及への参画を両立できる『ソライチファンド』の運営を行っています。それぞれ、将来の生活を豊かにする選択肢としてご活用いただければ幸いです。
5.まとめ
災害時に備えた対策は「時間ができたら」や「余裕があるときに」といった理由により先延ばしにされがちです。
しかし、台風や豪雨、地震などの災害はいつ起こるか分かりません。
ぜひ、つぎの休日に災害対策のための時間を作って、防災セットの準備や話し合いの機会を設けてみてください。