太陽光発電投資と不動産投資を比較|メリット・デメリット・リスクを解説
この記事の目次
太陽光発電投資と不動産投資は、比較検討されることの多い投資手法です。
どちらも、実物資産を運用して利益を得るという点では共通していますが、運用にまつわるメリットやデメリットにはどのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、太陽光発電投資と不動産投資をメリットとデメリット、リスクの観点から比較して解説します。
リスクとリターンの特性を把握し、より適した投資手法を選ぶための参考資料としてご参照ください。
- 太陽光発電投資と不動産投資の共通点は初期費用の大きさ
- いずれも融資を利用して自己資金を超える金額を運用可能
- 初期費用の大きさ・借入リスクを懸念するならファンドも要検討
1.太陽光発電投資と不動産投資のメリット
まずは、太陽光発電投資と不動産投資の主なメリットについて確認していきます。
太陽光発電投資のメリット | 不動産投資のメリット |
収益予測が立てやすい | 投資方針の自由度が高い |
環境保全に貢献できる | 出口戦略の選択肢が豊富 |
融資を利用して投資できる |
それぞれ挙げた主なメリットのうち、いずれも「融資を利用して投資できる」という点は共通しており、金融機関から資金を借り入れることで大規模な投資が可能です。
基本的に投資商品は融資の対象とならないなか、太陽光発電投資と不動産投資は数少ない融資を利用できる投資手法であるため、自己資金を超える多額な資産の運用を望むのであれば候補に挙がります。
このほか、融資以外の太陽光発電投資と不動産投資のメリットをそれぞれ解説していきます。
太陽光発電投資のメリット
融資を利用できるほか、太陽光発電投資のメリットは大きく2つ挙げられます。
- 収益予測が立てやすい
- 環境保全に貢献できる
一定期間、電力の売電価格が固定となるFIT制度により収益性が安定しやすく、収益予測が立てやすい点は太陽光発電投資のメリットです。
個人規模の投資にもちいられることの多い10kW以上50kW未満の発電設備であれば、FIT制度の適用期間が最大20年となるため堅実に中長期のあいだリターンを得られます。
また、発電設備の運用は再生可能エネルギーの普及につながるため、投資リターンを得ると同時に環境保全へ貢献できます。
世界規模でCO2の削減が課題とされているなか、その解決に携われる数少ない選択肢の1つであることも魅力でしょう。
一方で環境に良い・悪いと議論されることも多い太陽光発電は、建設場所や廃棄方法によって環境に悪影響をもたらすこともあります。太陽光発電が環境にもたらすメリットやデメリットについては、以下記事でご紹介しています。
不動産投資のメリット
融資を利用できるほか、不動産投資のメリットも大きく2つ挙げられます。
- 投資方針の自由度が高い
- 出口戦略の選択肢が豊富
投資対象がアパートやマンション、戸建て物件まで幅広く存在するため、不動産投資は立地面や投資規模の選択肢が多く、投資方針の自由度は高い傾向にあります。
賃貸ニーズが低下しづらい都市部で物件運用を行う投資家もいれば、賃貸ニーズの低下を創意工夫により解決し、地方の安価な物件をもちいて高い利回りで投資を行っている投資家もいるのです。
また、マンションやアパートを一棟買いした場合、あるいは戸建て物件を購入した場合は、物件が建築されている土地も所有することとなります。
そのため、築年数の経過により建物部分が劣化した際は、建物を取り壊して駐車場やトランクルームといった別の土地活用に転用可能です。
2.太陽光発電投資と不動産投資のデメリット
どのような投資手法にもデメリットは存在し、それは太陽光発電投資と不動産投資も例外ではありません。
太陽光発電投資のデメリット | 不動産投資のデメリット |
多額の初期費用が必要 | 物件選定の難度が高い |
出口戦略の考案が不可欠 | 収益予測が立てづらい |
制度による安定収入は最大20年 | 人口は減少傾向にある |
おおむね、主なデメリットとして上記のような問題が存在しており、いずれの投資手法にも一長一短があります。それぞれ、デメリットの内容を解説していきます。
太陽光発電投資のデメリット
太陽光発電投資の主なデメリットは、以下の3つです。
- 多額の初期費用が必要
- 出口戦略の考案が不可欠
- 制度による安定収入は最大20年
発電設備の規模感によるものの、投資事業として発電設備を運用するなら初期費用として1,000万~2,000万円は用意しなければならず、投資額の最低ラインは高い傾向にあります。
また、最大20年のFIT制度を終えたあとは固定価格による売電ができないため、別の方法で電力を活用する手段、あるいは保有する土地を太陽光発電以外の方法で活用する手段を探さなければなりません。
2020年現在、20年のFIT制度を終えた先例が存在しないため、自ら出口戦略を考案しなければならない点はデメリットになり得ます。
2020年度以降に認定を受けた発電設備は収益性低下
10kW以上50kW未満の太陽光発電設備のうち、2020年度以降にFIT制度の認定を受けた設備はすべての電力を売却できる「全量買取」の対象外となります。
発電したすべての電力を売却できず、30%以上の自家消費が前提となる余剰買取の対象となることから、全量買取が適用される2019年以前に制度の認定を受けた発電設備より、収益性は下がることに留意してください。
10kW以上50kW未満の太陽光発電設備におけるFIT制度の条件変更は、以下記事で詳細を解説しています。個人規模の太陽光発電投資を検討している場合はご参照ください。
不動産投資のデメリット
不動産投資が抱える主なデメリットは、以下の3つです。
- 物件選定の難度が高い
- 収益予測が立てづらい
- 人口は減少傾向にある
不動産投資は「人に住居(あるいは事務所)を提供する」という性質の事業であるため、物件そのものの状態や立地が重要となります。
物件選定を見誤ることで、入居者が見つからず投資として成り立たなくなってしまう可能性すらあるのです。
初期費用は少なくとも数百万円、資産価値の高い物件であれば数千万~数億円にのぼるため投資判断は慎重にならざるを得ません。
不動産投資の収益に直結する入居率は、太陽光発電投資における日射量よりも正確な予測が困難であるため、収益予測が立てづらいといった特徴もあります。
また、地方を中心に過疎化が進んでおり、国内人口も減少が続く見通しであるため、日本特有の人口推移の傾向もデメリットになり得ます。
3.太陽光発電投資と不動産投資のリスク
明確化された課題であるデメリットとは異なり、リスクは「不確定だが起こりうる問題」を指します。
そのため、デメリットに比べて注意を怠ってしまう傾向にありますが、リスクこそ事前に把握して備えるべき事柄です。
以下は、太陽光発電投資と不動産投資の主なリスクを示したものです。
太陽光発電投資のリスク | 不動産投資のリスク |
日射量の変化による収入の変動 | 入居者の家賃滞納 |
発電設備や周辺機器の故障 | 入居者に起因する火事 |
出力制御(出力抑制) | 入居者トラブルによる入居率の低下 |
盗難の被害を受ける | 施設の撤退による入居率の低下 |
自然災害の被害を受ける |
リスクはこれらに限定されるわけではありませんが、ここでは主なリスクとしてどういった問題がはらんでいるのかご説明します。
太陽光発電投資のリスク
太陽光発電設備の発電量は日射量により変動するため、雨天や曇天になれば発電量は低下して売電収入は落ち込みます。
結果として、当初予測していた収支シミュレーションより売電収入が増減し、期待を下回る(あるいは上回る)可能性があるのです。
もう1つの大きなリスクは、電力の需給バランスを正常に保つため、発電設備と電力系統の接続をストップする「出力制御」の存在です。
電力が供給過多になり出力制御が実施されているあいだは、売電が止まるため売電収入を得られません。
これらのほか、故障・盗難・自然災害といったリスクの詳細と対処法は、以下記事で詳しくご説明しています。本記事とあわせてご参照ください。
不動産投資のリスク
不動産投資のリスクは家賃滞納や火事、トラブルなど入居者を原因とするものが多く、これらの問題を完全に回避することは困難です。
家賃滞納の際に立て替えを行ってくれる家賃保証会社を利用したり、入居審査を厳しくしたりといった対策はあるものの、火事や入居者同士のトラブルは予測できません。
また、物件周辺にあった学校や企業、商業施設が撤退することで利便性が低下し、結果として入居率の低下につながるケースは珍しくありません。
不動産は文字通り「動かせない資産」であるため、周辺環境は入居率と密接に関係しているのですが、地域にある施設の撤退は予期できないものがほとんど。
実物資産であるため自然災害にさらされる場合もあり、運用には複数のリスクをともないます。
4.太陽光発電投資と不動産投資以外を選択すべき場合
ここまでの太陽光発電投資と不動産投資の比較を見て、以下のような思いが芽生えたなら投資手法の再考をおすすめします。
- 投資として魅力的だが、初期費用の大きさがネック
- やはり出口戦略の部分に不安が残る
- どちらも管理会社の手配が大変そうだ
- 最初は自己資金の範囲で資産運用を始めたい
このような不満・不安を抱えたまま資産運用を始めれば、人生に余裕をもたらすはずの投資が精神的な負担の原因になってしまうでしょう。
まずは、少額から始められる資産運用を検討し、段階的に大きな資金を動かす投資に移行することを推奨します。
5.少額から始められる「太陽光発電ファンド」という選択
太陽光発電投資の安定的な利益に魅力を感じつつ、初期費用を抑えて投資を始めるのであれば、太陽光発電ファンドが有力な候補として挙がります。
太陽光発電ファンドは、複数の出資者から資金を集めて「全量買取の太陽光発電設備」に投資し、間接的に太陽光発電投資を行える投資商品。
大きな金額を動かすことで発生する不満や不安を解消できるほか、出資者自身は発電設備を直接管理することなく、運用業務をプロに一任できます。
どのような仕組みによって成り立っているのか、以下の図表をご覧ください。なお、ここでご紹介する運用の流れは弊社が提供する『ソライチファンド』の例であり、太陽光発電ファンドによっては運営の仕組みが異なる点に留意してください。
- 出資者(投資家)が営業者(合同会社)に出資
- 出資金をもちいて営業者が太陽光発電設備に投資
- 営業者が太陽光発電設備をオペレーターに賃貸
- オペレーターの運用のもと、発電された電力は電力会社に売却
- 売電量に応じて、オペレーターは売電収入を獲得
- オペレーターが営業者に対して、賃借料を支払い
- 運営費用と内部留保を差し引いて出資者に分配
太陽光発電投資と不動産投資は、いずれも融資を利用して多額の資金を動かせる投資です。
ただ、融資を利用すれば大きな金額を動かせるものの「負債を抱える」というリスクを背負うこととなります。
一方、ソライチファンドは最低投資額が50万円(1口)であり、自己資金の範囲でリスク許容度を抑えつつ資産を運用することが可能です。
また、運用期間が最大20年に設定されており、FIT制度の終了にあわせて出口戦略を考える必要がないことも出資者の負担軽減に寄与します。
一概にどのような投資手法が優れていると断定はできないものの、融資を利用して太陽光発電投資や不動産投資を始めることにリスクを感じている場合、太陽光発電ファンドは代替案の1つとして挙げられるでしょう。
6.まとめ
太陽光発電投資と不動産投資は、いずれも魅力的な投資手法であることに違いありませんが、費用面と運用管理にかかる手間がネックとなるケースは少なくありません。
メリットとデメリット、リスクを考えて熟考したうえで、大きな投資額を扱うことに不安を覚えるのであれば、まずは太陽光発電ファンドを検討してみてはいかがでしょうか。