太陽光発電の長所・短所を知りたい!一覧解説しました【2020年最新】
この記事の目次
太陽光発電は、環境保全の観点から有意義な取り組みであり、自宅の光熱費削減や売電収入の獲得といった経済面のメリットもあります。
ここでは、投資的な長所・短所、発電方式として他と比較したときの長所・短所について、一覧形式でご説明します。
1.太陽光発電の主な長所・短所一覧
太陽光発電の主な長所・短所は、以下の通りです。
太陽光発電の長所 | 太陽光発電の短所 |
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光熱費削減や売電による収益獲得など、投資的観点での長所や短所。および、発電方式としての長所と短所について、上記の順番で解説していきます。
2.太陽光発電の主な長所
投資的観点からも、発電方式としての観点からも、太陽光発電には優れた部分が多くあります。
ここでは、太陽光発電における主な長所を6つの切り口からご説明します。
2-1.二酸化炭素の削減に貢献できる
2020年現在、国内の主要電源である火力発電は、天然ガスや石油、石炭を燃料として燃やすため二酸化炭素や有害物質が発生します。
発電量あたりの排出量は、技術の発展により減少傾向にありますが、太陽光発電はそもそも発電時に二酸化炭素を排出しません。
火力発電のように燃料を輸送する必要もないため、太陽光発電は二酸化炭素の削減に貢献できる発電方式だといえます。
2-2.事業者は売電収入を得られる
太陽光発電設備を運用する事業者は、発電した電力を自家消費したり、電力会社に売却したりできます。
電力を売却する場合、FIT制度(固定価格買取制度)により、一定期間は固定価格で電力を買い取ってもらうことが可能です。
電力の買取価格・買取期間は、家屋の屋根に設置する10kW未満の「住宅用太陽光発電」と、空き地や工場の屋根に取り付ける10kW以上の「事業用太陽光発電」で異なり、2020年度はそれぞれ以下の条件となっています。
設備規模(発電出力) | 電力の買取価格 | 制度の適用期間 |
住宅用太陽光発電 (10kW未満) |
21円 | 10年間 |
小規模事業用太陽光発電 (10kW以上50kW未満) |
13円+税 ※地域活用要件あり |
20年間 |
事業用太陽光発電 (50kW以上250kW未満) |
12円+税 | 20年間 |
事業用太陽光発電 (250kW以上) |
入札により決定 | 20年間 |
基本的には、住宅用太陽光発電が10年間、事業用太陽光発電が20年間の制度適用を受けられるものの、10kW以上50kW未満の太陽光発電は2020年度以降から扱いが変更されました。
10kW以上50kW未満の太陽光発電のうち、2020年度以降にFIT制度の認定を受けたものに関しては、自家消費と災害時における地域活用への対応が必須化されます。
この条件に該当する太陽光発電設備は、発電した電力をすべて売却する「全量買取」を選べません。
全量買取の太陽光発電設備を運用するのであれば、2019年度以前にFIT制度の認定を受けたものか、50kW以上の太陽光発電設備を選ばなければならないのです。
投資的観点における、全量買取と余剰買取の違いについては以下の記事で解説しています。
2-3.融資を利用して運用ができる
投資を目的として、個人規模で運用されることの多い事業用太陽光発電は、初期費用として1,000万~2,000万円程度が必要です。
そのため、株式投資や投資信託など、証券の売買をする投資商品に比べて費用面でスタートのハードルが高い印象があります。
しかし、事業用太陽光発電は金融機関の融資対象となるため、必ずしも費用面のハードルが高いわけではありません。
数百万、数千万円規模で資金を借り入れてスタートできるため、まとまった自己資金を用意せずに始められるといったメリットがあるのです。
2-4.理論上は長期的な発電が可能
10年や20年スパンで必要となる修理・交換などの対応を施すことで、太陽光発電設備は長期的な発電事業の継続が可能です。
自然災害や盗難に遭遇するリスクを考慮すれば、必ず長期運用ができる保証はありませんが、すでに20年以上ものあいだ稼働している太陽光発電設備は複数存在します。
送電線に接続された日本初の住宅用太陽光発電である「桑野太陽光発電所」は、1992年から稼働しています。
2017年には設置から25周年を迎えており、25年のあいだ壊れることなく稼働しているようです。
また、1983年に奈良県の壷阪寺へ設置された太陽光発電設備も、2011年に行われた性能評価試験では目立った劣化が見られず、すでに30年以上稼働しています。
現行の太陽光発電設備は、当時の設備より性能・耐久性の面で優れていると想定されるため、理論上は長期的な発電が可能であると予想されています。
2-5.発電により発生する廃棄物がない
二酸化炭素を発生させない発電方式として、原子力発電があります。
ただし、原子力発電は二酸化炭素を出さない効率的な発電方式である一方、使用済燃料を生み出してしまう点で問題があるのです。
使用済燃料の大部分はリサイクル可能ですが、一部に「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれるものが含まれます。
高レベル放射性廃棄物は放射能レベルが高く、地下300メートルより深い地層に処分しなければなりません。
このような処理の維持コスト、健康面への懸念から原子力発電に反対する声もあります。
一方で太陽光発電は、発電によって危険な廃棄物を生み出すことがありません。二酸化炭素を排出しないことに加えて、廃棄物の処理や安全性の観点で優れているといえます。
2-6.設置場所の確保が比較的容易
水力発電は、落差によって水を落として発電機を稼働させるため、その多くがダムを作れる山間部や河川に建設されます。
風力発電も一定以上の風速を必要とし、バイオマス発電も燃料調達や交通状況などの条件が揃わなければ設置できません。
一方、太陽光発電は日射量を確保できれば、家屋の屋根や空き地など設置場所を自由に選択できます。
数ある発電方式のなか、とくに設置場所の確保が容易であることもメリットです。
3.太陽光発電の主な短所
ここまで長所をご説明してきましたが、太陽光発電にも短所はあります。
投資的観点、発電方式としての観点から、どういった短所を持っているのか解説していきます。
3-1.費用が数百万~数千万円と高額
住宅用太陽光発電であっても初期費用は100万~300万円であり、事業用太陽光発電にいたっては1,000万~2,000万円の初期費用がかかります。
前述した通り、事業用太陽光発電は融資を利用して自己資金の負担を軽減できるものの、初期費用が少額になるわけではありません。
融資によって調達した資金は、長期的に返済を続けなければならないのです。
株式や投資信託などの投資商品よりも、最低限必要となる金銭的な負担が大きくなる点は短所だといえます。
3-2.出口戦略を考えなければならない
太陽光発電設備は実物資産であるため、いずれ売却したり廃棄したりといった処理が必要になります。自動的に換金されたり、ネットを介してワンアクションで手放したりできないのです。
そのため、太陽光発電設備の購入前には、運用開始から終了までの計画を練り「出口戦略」を立てなければなりません。
これは、実体のある資産特有のデメリットだといえます。
3-3.制度による安定収入は10~20年
太陽光発電におけるメリットの1つは、FIT制度によって一定期間の電力買取が保証されることです。
住宅用太陽光発電であれば10年、事業用太陽光発電であれば20年のあいだ電力買取が行われるため、安定収入の獲得につながります。
しかし、FIT制度の適用期間が終了したあとは、契約先として選んだ電力会社の提示条件に則り、電力を買い取ってもらうこととなります。
国が用意したFIT制度のように、中長期的な安定収入が約束された契約を結べる保証はなく、FIT制度を終えたあとにどのような条件の契約を結べるのか分からない点に不安が残るのです。
すでにFIT制度を終えた住宅用太陽光発電を見る限り、2020年時点では1kWあたり8~10円で売電の契約を行うケースが多い印象です。
3-4.日射量の変化・被災や盗難のリスク
太陽光発電は、電力の発電量を日射量に依存しています。
そのため、事前の予想より日射量が少ない場合、想定していた水準の発電を行えないリスクがあるのです。
発電量が低下すれば、自家消費できる電力や売電に充てられる電力が減ることとなり、太陽光発電設備に対する費用対効果が下がります。
また、実物資産である都合上、自然災害や盗難などのリスクにさらされます。
自然災害や盗難は、それぞれ損害保険への加入や遠隔監視システムの導入により対策はできますが、事業継続が不可能になるリスクもはらんでいることを念頭に置いておかなければなりません。
3-5.発電効率は比較的低い
一般に使用される太陽光発電のシステムは、発電効率が20%程度です。
再生可能エネルギーを使った他の発電方式を例にすると、風力発電の発電効率は20~40%程度、水力発電の発電効率は80%程度であるため、それらと比較すれば太陽光発電の発電効率は低いといえます。
なお、発電効率20%前後という数値は、地熱発電やバイオマス発電と近しい水準です。
3-6.発電できる時間帯が決まっている
太陽光発電設備は、太陽が出ていない夜間に発電ができません。日射量の変動と同じように、発電量を一定にコントロールできない点はデメリットだといえます。
4.まとめ
太陽光発電の導入を検討する際は、ここまで解説した長所・短所を判断材料の1つとしてみてください。
なお、太陽光発電を投資先として検討する場合、初期費用の大きさ・出口戦略の判断といった課題は「太陽光発電ファンド」を運用候補とすることで解消できます。
太陽光発電ファンドは、太陽光発電設備を購入するより初期費用が小さく、あらかじめ運用期間が決まっているからです。
太陽光発電ファンドに関する情報は「太陽光発電ファンドとは?仕組み・利回り・リスクについて徹底解説」の記事で解説しています。本記事とあわせてご参照ください。