不動産投資は割に合わない?|原因と対策を知って賢く管理・運用しよう
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不動産投資を始めようと考えている方の中には「不動産投資は割に合わないからやめたほうがいい」といった声を聞いたことがある人も多いかもしれません。
たしかに、不動産投資では初期費用にそれなりのお金がかかることに加え、収益物件を見つけるまでの手間がかかることも事実です。
しかし、本当に割が合わない投資だと切り捨ててよいものでしょうか。
今回の記事では不動産投資が割に合わないと考えられる原因と、リスクを回避して安全に運用するための対策についてまとめてみました。
1.不動産投資が割に合わないと感じる理由
不動産投資が割に合わないと感じる理由として、次のようなケースが考えられます。
- 結果が出るまでに時間と労力がかかる
- 換金性が悪い(流動性が低い)
- 収益物件を見つけるまでが大変
- 入居者トラブルの発生 それぞれについて見ていきましょう。
1-1.結果が出るまでに時間と労力がかかる
不動産投資では、元手が回収できるまでにそれ相応の時間と労力がかかります。
たとえば800万円でワンルームマンションを購入し、毎月5万円の家賃収入があったと仮定しましょう。
その場合、年間で見込める家賃収入は60万円(5万円×12カ月)となり、800万円を回収するためには単純計算で13年かかります。
また、常に入居者がいるとは限らず、空室期間も考えると元手の回収にはさらに長い時間が必要です。
こうした元手の回収年数の長さから不動産投資が割に合わないと感じる人が多く、中には実質の手取りが少なすぎると感じてしまう人もいるかもしれません。
換金性が悪い(流動性が低い)
不動産投資の特徴のひとつとして、物件の換金率の悪さ、つまり流動性が低いことが挙げられます。
流動性が低いと判断される理由は主に以下の2つ。
- 価格が高く手が出しづらい
- 取引に手間と労力がかかる
不動産は株やその他投資商品と異なり、分割(証券化)が難しいといった特徴があります。
そのため不動産の単価は非常に高くなり、どんなに安い不動産であっても数百万円は必要となるケースがほとんどでしょう。
購入にあたっては大半の人がローンを組む必要があるほか、ある程度まとまった資金を用意しなければなりません。
こうした観点から不動産投資はハードルが高いというイメージを抱かれやすく、他の金融商品と比べて買い手が少ないことから結果として流動性の低さを招いています。
また、売り手からすると不動産を売却する際に非常に多くの手間が生じることも、流動性の悪さを助長している要因のひとつです。
不動産の売却は価格査定の依頼から始まり、そこから不動産仲介業者と媒介契約を締結し、一連の売却活動を経て購入希望者を見つけます。
購入希望者が見つかったあとも、場合によっては価格交渉が生じるほか、交渉成立後も引き渡しまでに多くの手続きを踏まなければなりません。
こうした換金性の悪さが、不動産投資が割に合わないと感じる理由のひとつとして挙げられることは言うまでもないでしょう。
1-2.収益物件を見つけるまでが大変
不動産投資では、とにかく利回りがよく好立地の物件を選べばよい、というわけではありません。
地域の特性に見合っているか、どのような人が入居するのか、家賃設定は適正かなど、さまざまな観点も踏まえたうえで物件を見つける必要があります。
土地勘のある地域で探すのであればともかく、そうではない場合には条件のよい収益物件を見つけるまでにそれなりの労力を要します。
また、満室状態にある物件を購入したにも関わらず購入後すぐに退去者が続出した、入居者退居後に次の借り手がなかなか現れない、といった問題が生じることも少なくありません。
労力と結果が必ずしも見合わないのが不動産投資であり、割に合わないと感じる人が多いポイントのひとつと考えられます。
1-3.入居者トラブルの発生
不動産投資そのものの運用が上手くいっていたとしても、ある日突然に入居者によるトラブルが生じる恐れもあります。
入居者トラブルでも特に多いのが「敷金・原状回復にかかるトラブル」です。
独立行政法人国民生活センターの調査によれば、2020年には11,156件もの相談が寄せられており、他の年度も例年1万件を超える相談が寄せられています。
また、敷金・原状回復にかかるトラブル以外にも家賃滞納や騒音トラブル、入居者同士の揉め事などさまざまな賃貸トラブルが生じる恐れがあるでしょう。
基本的には管理会社が賃借トラブルの対応にあたりますが、トラブルが長引いたり他に影響が生じたりしている場合はオーナーにとってもそれ相応の心的負担がかかります。
2.不動産投資を始める前にしておくべきこと
ここまでの不動産投資が割に合わないケースをふまえて、不動産投資で成功するために大切なことを4つ、取りあげてみました。
- しっかりと勉強し知識を身につける
- 失敗例について学ぶ
- 不動産投資に係る税金や費用を把握する
- 信頼のおける不動産投資会社を探す
ひとつずつ確認していきましょう。
2-1.しっかりと勉強し知識を身につける
まずなんといっても、不動産投資を始めるうえで必要となる知識について前もって学んでおくことが大切です。
不動産投資初心者が陥りやすい失敗例として、不動産投資の基礎知識や仕組みを学ぶことなく、いきなり不動産投資会社の選定から始めてしまうケースが挙げられます。
基礎知識を身につけることなく不動産投資会社の情報だけを集めてしまうと、業者のいいように流されてしまうリスクが高まるほか、そもそも自分にできるのだろうかと不安を抱く要因ともなるでしょう。
そのため、まずは以下のポイントをしっかりと勉強しておくことが大切です。
- 不動産投資の仕組み
- 優良物件の見極め方とそのコツ
- 不動産の購入・売却にかかる一連の流れ
- 購入物件の維持および管理の仕方
不動産会社の選び方 不動産投資では「借り手側から得られる家賃収入(=インカムゲイン)」と「物件を売却して得られる売却益(=キャピタルゲイン)」が主な収益源となります。
それらの違いについてもしっかりと学んでおくようにしましょう。
2-2.失敗例について学ぶ
不動産投資を成功させるために成功事例について学んでおくことはもちろん大切ですが、それ以上に学ぶべきこととして「失敗事例」が挙げられます。
特に不動産投資初心者は、投資でいきなり多額のリターンを得ることを目指すのではなく、失敗例を学ぶことで着実に投資経験を重ねていくことが大切です。
不動産投資の失敗例から実際に発生しうるリスクとその回避策を学び、自身の投資に活かしていきましょう。
2-3.不動産投資にかかる税金や費用を把握する
不動産投資には、頭金や不動産取得税、登記費用などの初期費用と、管理会社への委託費、管理・修繕費などの維持費用といった2種類の費用が生じます。
不動産投資を始める前にこれらの税金や費用についてしっかりと把握しておくことが大切です。
また、物件を購入した後の維持費用についても計画的に準備しておきましょう。
たとえば物件価格が2,000万円で5%の利回りの場合、年間の家賃収入は100万円になりますが、諸経費が年間40万円かかるとなると実際の手取りは60万円となります。(利回りが3%である計算になる)
このように経費を含めた利回りのことを「実質利回り」、含めない利回りのことを「表面利回り」といい、物件を探す際は「実質利回り」をしっかりと把握しておくことが大切です。
2-4.信頼のおける不動産投資会社を探す
投資したい物件やエリアが決まったところで、不動産投資会社を探すことになります。
不動産投資では多額のお金が動くことから、信頼のおける担当者かどうかを第一に考え、利用する不動産投資会社を選定するようにしましょう。
また、不動産投資は買ったら終わりではなく、その後も投資物件の管理などが生じます。
そのため、実際に借り手が見つかった後も安心して管理が任せられるか、住宅設備をはじめ不動産に関する法律に長けているか、しっかりと見極めることが大切です。
3.割に合わない物件に出会わないために
不動産投資で割に合わない物件と出会わないために、物件選定の際に注意すべきポイントは主に以下の3つです。
- 賃貸需要が高い立地・エリアであるかどうか
- 管理・メンテナンスがきちんとなされているか
- 物件の資産価値は適正かどうか
3-1.賃貸需要が高い立地・エリアであるかどうか
投資しようとしている不動産が賃貸需要の高い物件か、確認することが大切です。
具体的には交通の便がよいか、物件の周囲にコンビニや薬局、銀行といった施設が整っているかチェックするようにしましょう。
また、家族向けの物件を探している場合には、保育園や幼稚園をはじめ公園や小児科といった施設が周囲に充実しているエリアを狙うことをおすすめします。
賃貸需要はあるかといった視点はもちろん「実際にどんな人が借りるのか」ターゲットを適切に見極めたうえで、投資物件を決定しましょう。
3-2.管理・メンテナンスがきちんとなされているか
不動産の資産価値を保つうえで、管理・メンテナンスは欠かせません。
そのため物件がきちんと管理されているか、適切にメンテナンスが行われているかチェックするようにしましょう。
また、住居系物件を考えている場合には部屋の仕様や設備が時代の流れに合っているか、確認することも大切です。
特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってテレワークが増加している昨今、住み心地や仕事のしやすさを住居に求めている人が増えており、ネット環境や防音に関して世間の目が厳しくなっていることは確かでしょう。
そして、室内だけでなくセキュリティ面もしっかりと対策が講じられている物件を選ぶことも重要です。
3-3.物件の資産価値は適正かどうか
割に合わない不動産投資を避けるうえで、物件の資産価値が適正かどうか見極めることも大切です。
現在の価値だけでなく、将来的な資産価値も適切に見極めなければ、家賃収入を得られたところで資産価値の下落に巻き込まれてしまう恐れが高まります。
良い条件で物件を見つけた際は、周囲の売り出し物件や過去の売却事例も参考にしながら、広さや間取り、築年数や利便性などを判断していくようにしましょう。
4.まとめ
今回は不動産投資が割に合わないと考えられる理由と、その対策についてお伝えしました。
不動産投資に限らず、投資には常に一定のリスクが付きまといます。
そうした側面も理解したうえで、それらとうまく付き合い、対処できるだけの知識を身につけておくことがまずは大切です。
不動産投資で失敗を防ぐためにも、まずはできることから着実に始めていきましょう。