初めての不動産投資。目的に適した物件の選び方

 

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不動産投資は立地が重要と言われますが、立地の前にまず決めなければならないのが物件の種別です。

マンション、アパート、戸建て。

新築か中古か、単身用かファミリー用かということも含めて、投資用不動産には種々の選択肢があります。

物件ごとに得られるメリットと気をつけるべきポイント(デメリット)が異なるため、ご自身の運用スタイルや目的に適した物件を選ぶことが大切です。

そこで今回は、投資用不動産の物件種別とそれぞれの特徴、目的にあわせた物件の選び方について解説していきます。

「誰でも儲かる物件」はありませんが「自分の目的に適した物件」はあります。

目的に適した物件を選べば、求めているメリットを得やすくなるはずです。

物件選びで悩んでいる・迷っている人は、投資判断の参考にしてみてください。

不動産投資の目的によって適した物件は変わる

先述のとおり投資用不動産の種類はマンションから戸建てまでさまざまで、それぞれメリット・デメリットがあります。

同じ物件でも、立地や設備、築年数などの条件や経営の方法によって収益性は変わります。

そのため、一概にどの物件が良い、儲かるといったことは言えません。

大切なのは、ご自身の目的と運用スタイルに適した物件を選び、自身が不動産投資に求めるメリットを得ることです。

以下を参考に、まずはご自身の考えを整理してみてください。

  • 売却益も含めた収益重視。複数戸所有して利益を拡大していきたい
  • 老後の収益源として長く持ちたいので、売却は考えていない
  • 納税額が高いため、節税目的
  • 団信の付帯で万が一のときの遺族保障を充実させたい

上記はあくまで一例であり、実際は人それぞれ不動産投資に求めるものは違います。

大切なのは、ご自身の目的と優先順位、運用スタイルを明確にすること。ある程度目的が明確になれば、物件選びもしやすくなるのではないでしょうか。

投資用不動産の物件種類とメリット・デメリット

不動産投資の目的が明確になったら、次は投資用不動産の特徴を把握しましょう。

以下の表に、代表的な投資用不動産の物件種別をまとめました。

<投資用不動産の特徴とメリット・デメリット>

物件種別 特徴 メリット デメリット
新築区分マンション いわゆる新築のワンルームマンション。都市部の物件を少額で手軽に購入できる。新築のため管理しやすいが、価格下落リスクに注意 ・融資が通りやすい
・少額で手軽に始めやすい
・節税効果が低い
・物件価格が下落しやすい
中古区分マンション 中古のワンルームマンション。新築物件に比べて物件数が多くより手軽に購入できるが、ある程度メンテナンスが必要 ・物件数が多く選択肢が豊富
・少額で手軽に始めやすい
・管理費や修繕積立金などの経費率が高くなりやすい
新築1棟アパート・マンション 新築初期は高い家賃で集客できるため収益を得やすいが、区分マンションに比べて多額の購入費用がかかる ・集客しやすく、家賃も高く設定しやすい
・複数戸の所有で収益を拡大しやすい
・経過年数に応じて賃料を下げる必要が出てくる
・物件購入価格が高い
中古1棟アパート・マンション 特に木造の築古物件は単年度の減価償却費が高くとれるため、節税効果は高い。修繕や自然災害リスクに注意 ・節税効果が高い
・複数戸の所有で収益を拡大しやすい
・大規模修繕リスク、自然災害リスクが髙い
・長期の融資を組みにくくなる可能性がある
中古戸建て住宅 ファミリー層向けのため継続収入を期待できる。郊外の立地需要を見極める必要がある ・長期の継続収入が期待できる ・物件数が少ない
・ほとんどの戸建ては郊外にある

このように物件の種別によって得られるメリット・デメリットは異なります。

上記を参考に、ご自身の目的と運用スタイル、そして予算に適した物件種別は何かを考えてみてください。

初期費用をなるべく抑えて始められるのは区分マンションですが、収益性重視であれば一棟アパート・マンションのほうが適しています。

ただし一棟物件の購入には区分マンション以上の初期費用と多額のローンを通す必要があります。

目的だけではなく、資金や融資の状況もふまえて検討しなければなりません。

また、どの物件でも、安定して家賃収入を得るためにはさまざまなリスク対策や経営面の工夫が求められます。

上記のメリットを活かすためには不動産投資の知識が不可欠であり、いきなり物件選定から始めても成功させるのは難しいでしょう。

書籍やセミナー、複数の不動産会社に相談し、基礎知識を身につけることも忘れないようにしてください。

不動産投資の目的別・物件の選び方

ここでは複数の不動産投資パターンを例に、物件の選び方をご紹介していきます。

「目的はある程度整理できたものの、肝心の物件選びで悩んでいる」「具体的な選び方の事例を知りたい」という人は、参考にしてみてください。

副業として気軽に始めたいなら区分マンション

「副業として不動産投資を始めたいが、予算には限りがある。初期費用は抑えて、時間をかけて副業収入を得ていきたい」

つまり、今の家計に少しでもいいから上乗せできる副業収入がほしい。とはいえ、初期費用はできる限り抑えて始めたいという人です。

そんな人には、初期費用を抑えて管理しやすい区分マンションが適しています。

アパートやマンションの一棟買いと違い、区分マンションなら1,000万円~2,000万円程度で始められます。

ローンを組めば、初期費用も100万円~数百万円程度に抑えられるでしょう。

1室だけの運用であれば、副業でも比較的管理しやすいです。

もし管理業務が難しい場合は賃貸管理会社に委託する方法もあるため、本業が忙しい人でも始めやすいでしょう。

区分マンションであれば将来的には投資家自身の居住用に転用して住む方法もあり、立地選びに気をつければ売却もしやすいはずです。

このように、区分マンションは始めやすく管理しやすい点が副業投資家向きです。

ただし区分マンションは収益源が1室だけになるため、空室が発生すればダイレクトに収益に影響します。

収益性は高いとは言えず、場合によっては長期間持ち出しありになる可能性もあるでしょう。

また、新築マンションは減価償却を取りにくいため、節税には不向きです。

気軽に始められるものの、長期で安定した賃貸収入を得るには経営面の工夫と入念なリスク対策が必要になる点に留意してください。

安定したインカムゲイン狙いなら一棟マンション・アパート

「安定した家賃収入(インカムゲイン)を目的にしていて、いずれは専業大家を目指している」

「リタイヤ・セミリタイヤを目標にしているため、しっかりと収益を出したい」

つまり、安定したキャッシュフローでしっかり収益を出したい人です。こんな人には、複数戸持つことで収益を拡大させやすい一棟アパートや一棟マンションが適しています。

もちろん一棟物件を購入するにはある程度まとまった初期費用と、多額のローンを組める信用力の高さが必要です。資産に余裕があり、多額のローンを組める属性であることが前提になってきます。

一棟物件は複数戸所有によって収益を拡大しやすい点がメリットですが、一方で立地選びを間違えれば複数の空室が発生してしまう可能性もあります。需要のある立地を選ぶことが重要です。

節税狙いの高所得者なら一棟中古アパート

「節税対策を目的に不動産投資を始めたい」という高所得者には、節税効果の高い一棟中古アパートが適しています。

不動産投資で得られる節税効果とは、減価償却費を使った課税所得の圧縮によるものです。

そのため節税には以下の2つが不可欠です。

・課税所得が高額であること。目安は課税所得900万円以上で、所得税率が33%以上の人

・減価償却費を高くとりやすい物件に投資すること

ここでいう減価償却費を高くとりやすい物件が、耐用年数が短い中古の木造物件=一棟中古アパートなのです。

ただし中古の木造物件は大規模修繕や自然災害のリスクが高く、新築物件や鉄筋コンクリートのマンションよりもメンテナンスが大変です。

さらに築30年以上の築古物件になると長期の融資を取りにくくなる可能性も出てきます。

したがって一棟中古アパート投資は物件の修繕相談もできる不動産会社選び、そして長期の融資を取りやすい金融機関選びが重要になってきます。

まとめ

不動産投資を始める人の目的はさまざまです。

とにかく収益重視の人もいれば、節税や老後の収入源、副業収入、インフレ対策が目的の人もいるでしょう。また投資にかけられる時間や資金の余裕、ローンを使える属性かどうかも、人それぞれ違います。

各々の状況と目的が違う以上、物件選びに正解はありません。状況と目的に適した物件を選び、求めるメリットを効率的に得ることが大切です。

ご紹介した物件ごとの特徴と物件選びを参考に、ご自身に適した物件は何かを考えてみてください。


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