サラリーマンが不動産投資をする理由と注意点

 

この記事の目次

サラリーマンが副収入を得る方法として不動産投資を行うことが最近増えてきました。

サラリーマン大家」などと呼ばれ、中には会社に勤めながらの不動産投資で大きな収益を上げている例もあるようです。

一昔前は、不動産投資をするのは会社経営者などの富裕層や代々の地主など資産家に限られていました。

最近になってサラリーマンが不動産投資に注目するようになったのは、どのような理由があるのでしょうか。

サラリーマンが不動産投資をする際の注意点とあわせて解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • サラリーマンが不動産投資をする理由として、副業が禁止されていることやローンが組みやすいことなどがある
  • サラリーマンの不動産投資では、収支の見込みを保守的に見積もることや他人に任せきりにしないことが重要
  • 節税目的の不動産投資をするのであれば税の理解が不可欠

1.サラリーマンが不動産投資をする理由

サラリーマンを中心に不動産投資が人気を集めている理由をみていきましょう。

1-1.副業が禁止されている場合の副収入

サラリーマンの場合、勤務先の会社の就業規則で副業が禁止されていることがあります。

副業が禁止されている場合に、収入を増やそうと思ったら副業禁止規定に抵触しない投資を選択するしかありません。

一般的に、副業禁止の対象となる「副業」とは勤務先以外での労働を指します。

投資による収入は、労働を要しない不労所得に分類されるため副業禁止規定には抵触しないと考えられているのです。

副業にあたらない投資としては、株式やFXなど有価証券への投資が典型的ですが、株式投資についてはインサイダー規制との関係から勤務先によっては制限されていることもあるでしょう。

不動産投資であれば副業禁止に抵触することもなく、また株式投資など典型的な有価証券への投資よりも安定的な収益が見込めると考えるサラリーマンが、副収入を得る手段として不動産投資を選択しています。

1-2.日中に稼働する必要がほとんどない

不動産投資は、入居者への対応など管理上の手間はそれなりに発生します。

もっとも、サラリーマンが働いている平日の日中にただちに対応しなければならないようなものは多くはありません。

このため、サラリーマンが本業の休憩時間や休日などの空き時間を使って不動産の管理をすることができます。

同じ投資でも、株式投資などの場合には相当の長期投資でない限り、平日の日中に頻繁に値動きを観察する必要がありますので、利益を伸ばそうと思ったらサラリーマンでは限界を感じることもあるでしょう。

また、コストはかかりますが、不動産の管理を管理会社に完全に委託する選択肢もあります。

このように、不動産投資家が物件購入後ほとんど稼働することなく収益を得ることが一応可能であることも、サラリーマンが不動産投資に着目する理由の一つといえます。

ただし、不動産の管理を完全に委託すると経費負担が大きくなり、利回りにダイレクトに影響するため慎重な判断が必要です。

1-3.サラリーマンは銀行から融資を受けやすい

サラリーマンが不動産投資をする理由として、そもそもサラリーマンは個人事業主などと比べて不動産投資に参入しやすいという一面もあります。

サラリーマンは、安定した収入があるため不動産投資用のローンを組みやすく、金利などの条件も良いことが多いのです。

特に大手企業のサラリーマンであれば、収入も良く勤務先の信用力も高いため、非常に条件の良い融資を受けられることがあります。

不動産投資用ローンの金利は、不動産投資の利回りに大きな影響を持ちます。

このため、有利な条件で資金調達のできるサラリーマンは、不動産投資に参入しやすいといえるでしょう。

1-4.不動産投資の赤字を利用した節税が可能

給与所得の高いサラリーマンは、累進課税により所得税の税率が非常に高くなります。

しかし、サラリーマンは事業者と異なり、経費計上による課税所得の圧縮がほとんど認められていません。このため、サラリーマンが節税をすることは容易ではありません。

このとき、サラリーマンが節税をする方法の一つに、中古物件に投資することで減価償却による会計上の赤字を発生させ、サラリーマンの本業の給与所得と損益通算して課税所得を抑える方法があります。

給与所得の高いサラリーマンにとっては、不動産投資を上手く活用することで節税メリットを享受できることも不動産投資に興味を持つ理由となっています。ただし、不動産投資による節税をする際には、税の仕組みをきちんと理解しておくことが大切です。

2.サラリーマンの不動産投資における注意点

ここまでの話だと、サラリーマンにとって不動産投資は非常に魅力的な選択肢に見えるかもしれません。

しかし、実際にはサラリーマンが不動産投資をして失敗した事例もそれなりにあります。

そこで、以下ではサラリーマンの不動産投資における注意点について説明します。

2-1.節税の手法は慎重に見極めを

サラリーマンが不動産投資をする理由の一つとして、中古物件の減価償却を利用した節税がありました。

ただ、実際に減価償却を上手く利用するためには税法の正確な理解に加えて、不動産を購入する前の精緻なシミュレーションが不可欠です。

また、減価償却により節税をする場合には、適切なタイミングで売却することが必要です。

この売却タイミングを誤ると、納税額が途中から大幅に増えて破綻するリスクもあります。

さらに、不動産投資により節税が可能となるのはあくまでも減価償却を利用できる場合に限られます。

不動産投資による赤字で節税ができる」という情報が独り歩きした結果、単に経費を多く計上することで赤字を出して節税する手法であると勘違いされていることがあります。

しかし、この方法だと現実に現金が流出しているため、あまり経済的なメリットはありません

このほか、不動産会社によっては、相場より高額な物件を購入することで毎月の収支が赤字になることを、「節税」と称しているケースもあります。

しかし、相場より高い物件を購入している点ですでに投資家には損失が発生しているといえますので、本来の意味での節税ではありません

2-2.将来の年収は保守的に見積もる

サラリーマンが不動産投資をする場合、本業の収入があるため仮に賃料収入が想定より低くなるとか空き室が発生する事態となっても、本業の収入で穴埋めができるため破綻のリスクが低いと考えるかもしれません。

しかし、サラリーマンで本業の給与収入が多い人であっても保守的に収支のシミュレーションをするべきです。

例えば、空き室が長期化して数か月にわたり賃料収入が入ってこない場合でも、不動産投資用ローンの返済が確実に可能となるよう余裕を持った計画を立てておくことです。

なぜなら、日本の長年の労働慣行であった終身雇用は崩れつつあり、将来も現在と同等以上の年収を得られる保証はないからです。

また、雇用の流動化が進み、転職を検討することもあるでしょう。転職により給与が上昇することもありますが、下がることもあります。

また、転職をしないとしても、勤務先の業績次第ではボーナスカットもあり得ます。

このほか、本人や家族の病気や介護により離職せざるを得ないこともあります。

不動産投資は、数年から数十年単位の長期投資となることも多いため、将来何が起こるかわからないという不確実性を念頭に置いておいた方がよいでしょう。

例えば、ボーナスをあてにした返済計画は立てないことも重要です。

2-3.管理会社や不動産会社に任せきりにしない

サラリーマンが不動産投資を行う理由の一つに、入居者の対応などを不動産管理会社に委託できる点を上で説明しました。

たしかに、管理会社に委託することで不動産投資家はほとんど何もせずに収益を得ることは不可能ではありません。

しかし、上でも述べたとおり、不動産の管理のすべてを管理会社に委託することは、その分経費がかさむことになり利回りが低くなります。

管理会社といっても業務のレベル感はさまざまです。

管理会社の対応に問題があれば入居者の短期間での退去に繋がりやすくなり、結果として空き室の発生によって赤字にもなりかねません。

また、物件の管理状態が悪いと物件の劣化が早くなり、入居者がなかなか決まらず想定外に賃料を落とさざるを得なくなることもあります。

したがって、仮に不動産の管理をすべて管理会社に委託するとしても、管理会社の業務遂行の方法や管理費用の妥当性については常に精査するべきです。

このため、管理会社にすべてを委託してまったく何も把握せずに収益だけ受け取るというのはリスクが高く、おすすめはできません。

このほか、不動産を購入する時点では、不動産の販売会社や仲介業者が利回りや資金計画などを算定してくれることもありますが、これだけを頼りに投資判断をするのは失敗のもとです。

実際に不動産投資家が手にすることのできる「実質利回り」を算定するためには、不動産投資家自身がどの管理会社を選定するかなどの詳細情報が必要であり、これらは投資家本人にしかわからないことです。

このため、不動産会社の提示する数値は参考程度にして、必ず投資家自身が独自に利回りや資金計画などを計算しておくことが大切です。

基本的に不動産投資は、同じ投資でも株式投資のような有価証券への投資と異なり、事業としての側面があります。

サラリーマンが不動産投資に参入する際には、このことをよく理解しておくことが大切です。

3.まとめ

不動産投資はサラリーマンの資産形成の方法として魅力的な一面があるのは確かです。

しかし、不動産投資により確実に収益を得るためには、建物の構造や不動産の相場の把握方法、不動産市況の捉え方に関する理解も必要ですし、利回りの算定方法や税金の計算方法も知っておかなければなりません。

このため、不動産そのものに興味がないとサラリーマンが不動産投資に参入しようとしても負担を感じることがあるでしょう。

サラリーマンが副収入を得る手段は限られていますが、同じ不動産への投資でもJ-REITや不動産クラウドファンディングなどであれば不動産管理の手間や収支計画を立てる必要もなく比較的気軽に投資できます。

サラリーマンといっても本業の忙しさや節税の必要性などは人によって異なります。

したがって、実物の不動産投資だけでなく、さまざまな投資対象の中から自分の置かれた状況や希望の条件にあった投資を選択することが大切です。


前へ

2020年版|太陽光発電は10kW以上・未満で何が変わる?どちらが良いの?

次へ

2020年度の設置費用|売電価格から見た太陽光発電の費用対効果は?