不動産投資を少額から始める方法とは

 

この記事の目次

不動産は魅力的な投資対象であるため、不動産投資に参入したいと考える人はたくさんいます。

しかし、参入の際にハードルとなるのが多額の初期費用がかかるという点です。

最近では不動産投資への人気の高まりを反映して、少額で不動産投資を始められる投資商品が開発されています。

そこで、不動産投資を少額から始める方法や、それぞれの投資商品のポイントについて解説します。

10秒でわかるこの記事のポイント
  • 現物の不動産投資をする場合は初期費用として100万円以上必要となることも
  • 少額で不動産投資ができる商品として、J-REIT、不動産小口化商品、不動産クラウドファンディングなどがある
  • 少額で不動産投資を始められる商品でもリスクはある

1.不動産投資のメリット・デメリット

不動産は投資対象として多くのメリットがあります。当然ながらデメリットもあります。

まずは不動産投資のメリットとデメリットについて、みていきましょう。

1-1.不動産投資のメリット

不動産投資のメリットをまとめると次のとおりです。

  1. 投資対象の価値がゼロにはなりにくい
  2. 比較的値動きが安定している
  3. 低金利時代にあっては利回りも魅力的

不動産投資では投資対象の価値がゼロにはなりにくいというメリットがあります。

株式投資では投資先の企業が倒産すると株式の価値はゼロになります。

このような有価証券等と比較すると、不動産投資は投資対象の資産価値がゼロになるリスクが低い投資手法でしょう。

不動産投資における収益は投資物件からの賃料収入です。

景気後退局面では賃料が下落しますが、その動きは株式などと比較すると一般的には緩やかです。

不動産投資は比較的収益に対する値動きが安定していることもメリットの一つといえます。

現在は歴史的な低金利が長期的に続いています。

日本銀行が毎月公表している国内銀行における短期の貸出約定平均金利は、2020年11月分で0.346%です。

不動産投資による利回りは、通常はこの市中金利を大きく上回ります。

低金利時代において、不動産は魅力的な投資対象でしょう。

1-2.不動産投資のデメリット

一方で、不動産投資にはデメリットもあります。

一般的に指摘されているのは次のような点です。

  1. 多額の初期費用がかかる
  2. 管理の手間がかかる
  3. 換金がすぐにできない
  4. 保有期間中の収支が赤字になることがあり得る

現物の不動産を購入する不動産投資では、購入するための初期費用の負担が重いというデメリットがあります。

不動産投資用ローンを組むとしても、ある程度の頭金を用意することが一般的です。

その他にも仲介手数料や登記費用、司法書士への報酬などで100万円以上の初期費用が必要となることもあります。

これらの初期費用をすべてローンで工面することも一応可能ですが、その分返済の負担が重くなり、資金繰りの悪化に繋がりやすいため慎重に考える必要があります。

また、不動産は購入して終わりではありません。賃料収入を得るためには賃借人の募集、賃料の回収、賃借人や近隣からのクレーム対応、物件の修繕など日常的な不動産管理業務が必要不可欠です。

この管理業務を完全に外注する選択肢もありますが、その分利益が減少するため判断が難しいところです。

不動産投資のメリットとして挙げた安定した値動きの裏返しでもありますが、不動産は株式など金融市場で取引される有価証券と比べると流動性が低く、換金が容易ではありません。

都心部などの人気物件であれば、買い手がつかないことはあまりありませんが、実際に買い手がついて引き渡しが完了するまでには数ヶ月を要しますので、急な資金需要による換金は困難です。

さらに、不動産投資では保有期間中の資金繰りをきちんと管理しないと、すぐに赤字になり資金ショートするリスクがつきまといます。

例えば、急な修繕が必要になったとか、想定以上に空室が続いて収入が途絶える事態がしばしば発生します。

特に不動産投資用ローンを組んでいる場合、少しでも赤字が発生すると破綻するリスクが高いので注意が必要です。

1-3.不動産投資は初期費用がかかることがハードルだった

これまで、不動産投資を考えている人にとって最大のハードルは多額の初期費用がかかることでした。

このため、ある程度の資産をもった地主や資産家、大手企業の会社員等でないと不動産投資への参入が難しいという事情がありました。

不動産投資自体は上記で挙げたように投資対象としての魅力があります。

そのため最近では、重い初期費用さえなければ不動産投資をしてみたいという人たちのために、少額から不動産投資に参入できる投資用の商品が開発されています。

2.少額から不動産投資を始める方法

少額から不動産投資を始めることのできる投資商品としては次のようなものがあります。

2-1.上場不動産投資信託(J-REIT)

少額で不動産投資が始められる商品として最も有名なのが、「J-REIT」とよばれる上場不動産投資信託です。J-REITでは最低投資額が数万円程度から不動産投資を始めることができます。

J-REITは、投資法人という不動産投資ファンドを介して投資家が不動産に投資する金融商品です。

したがって、投資家は不動産の所有権を有するのではなく、有価証券に分類されるREITの投資口を保有することになります。

J-REITは証券取引所に上場しているため、株式などと同様に簡単に売買できることもメリットの一つといえます。

当然ながら、流動性が高く換金も容易です。

また、J-REITの運用会社は金融商品取引業者として金融庁の厳しい監督を受けており、上場している証券取引所の審査もあることから、投資詐欺などに遭うリスクは他の不動産投資商品と比較してきわめて少ないといえます。

ただし、J-REITは証券取引所に上場しているため株式市場の値動きに連動しやすいという特徴があります。

したがって、投資しているJ-REITが保有する不動産賃貸業の収益自体が悪くない場合であっても、急激な投資口価格の下落が起きる可能性があることには注意が必要です。

また、上場しているJ-REITの破綻も過去に発生しており、投資対象の価値がゼロになるリスクを負っている点は株式などの上場有価証券投資と同様です。

さらに、現物の不動産投資と異なり、投資家はJ-REITがどのような不動産を保有するかを指示することはできません。

2-2.不動産小口化商品

少額から不動産投資を始めるための投資商品として「不動産小口化商品」と呼ばれるものもあります。

複数の小口の出資を集めて不動産を保有する仕組みであるため、J-REITとも少し似ています。

ただし、J-REITとは異なり証券取引所に上場はしていません。

必ずしもREITのような投資用のファンドを組成するとは限らず、投資家が直接現物の不動産を保有することになる商品もあります。

不動産小口化商品は、厳密には不動産特定共同事業法(不特法)に基づき組成される投資商品です。

不特法に基づく不動産小口化商品では、投資家は共同で出資して事業主体となり、事業によって得た利益を投資家に分配します。

この共同で行う事業が不動産投資に当たるのです。

共同で事業をするといっても、実際の不動産管理は業者が行います。このため、投資家にとっては現物の不動産投資で必要となるような不動産管理の手間を省けます。

J-REITは複数の不動産に分散投資する仕組みですが、不動産小口化商品では特定の不動産を投資対象とすることが通常です。

また、不動産小口化商品の場合、最低投資額が100万円以上となるものも多いため、商品によっては少額で投資できないこともあります。

2-3.不動産クラウドファンディング

少額で始められる不動産投資商品として最近注目を集めているのは、不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品は最低投資額が100万円を超えるものも多いですが、不動産クラウドファンディングでは最低投資額が1万円程度に設定されている商品が多くあります。

このため、できるだけ初期費用を抑えたいという場合には不動産クラウドファンディングが向いているでしょう。

不動産クラウドファンディングでは、まず投資家がクラウドファンディングに出資をします。

クラウドファンディングはその資金を元手に不動産を取得して、賃貸することで得た収益を投資家に分配します。

不動産クラウドファンディングでは通常、定められた運用期間の途中で出資した金額の払い戻しを受けることはできません。

J-REITのようにすぐに換金することはできないため、余剰資金で投資を行うことが大切です。

不動産クラウドファンディングはJ-REITとは異なり、特定の不動産ごとに募集されていることが一般的です。

このため、投資家が気に入った不動産を選んで投資できる点で現物の不動産投資に近いといえます。

他方で、不動産クラウドファンディングであれば、現物の不動産投資で必要となる不動産管理や資金繰りの手間は不要です。

通常の不動産投資におけるデメリットを低減し、メリットを享受できる投資商品といえます。

ただし、不動産クラウドファンディングでも、収益の悪化などによって運用期間の途中で破綻するリスクは存在します。

また、見込んでいた利回りが配当されない場合でも、途中解約ができないため損切りができません。

現物の不動産投資のように不動産管理の手間がかからない反面、投資家自身の努力によって収支を改善することもできません。

このようなリスクをできるだけ回避するためには、投資対象となっている不動産の収益性を投資家自身が慎重に見極める必要性があります。

また、不動産クラウドファンディングを行っている事業者が信用できるかどうかを事前によく検討しておくことも重要です。

3.まとめ

これまで一部の資産家や企業が主体となって行ってきた不動産投資に、誰でも少額で参入できるようになってきています。

もっとも、最近注目を集めている不動産クラウドファンディングは、まだ歴史が浅いことから投資後に思わぬリスクにさらされる可能性もあります。

どのような投資にも共通することですが、出資額が少額であっても、投資対象や運営している事業者の信用性などをよく検討してから投資判断をすることが大切です。


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