地球温暖化の現状・悪影響・対策の歴史。このままでは地球が住めない星に?
この記事の目次
現在、地球温暖化が進行し、緊急性が高まっています。今から世界中の国が、改善に向けて大きく動かなければ、地球が住めない星になりかねないのです。
この記事ではまず、地球温暖化が現在どれだけ進行しているのか、すでにどんな被害が起こっていて、この先どんな被害が予想されているのかをご紹介します。
そして、地球温暖化に対して国際的にどのように取り組んできたのか、私たちに何ができるのかをご紹介します。
地球温暖化は世界中の国や地域、そして一人ひとりが協力して取り組まなければならない問題です。
この記事を読んで、地球温暖化改善に少しでも関心を持っていただけると幸いです。
地球温暖化の現状
時々メディアでも報じられる地球温暖化問題ですが、現在はどれくらい進行しているのでしょうか。
地球温暖化が進行していることを知っている方は多いと思いますが、地球温暖化の現状について具体的に知っている方は多くないかと思います。まず地球温暖化の現状について理解を深めましょう。
地球温暖化のメカニズム
地球温暖化は二酸化炭素などの「温室効果ガス」の増加が原因です。地球は太陽から降り注ぐ光によって暖められています。その流れを解説しましょう。
まず太陽光が地表を暖めます。その後、地表から放射される熱を温室効果ガスが吸収することで大気が暖められます。
熱を温室効果ガスが吸収する一方で、熱の一部は宇宙空間に放出されるため、地球の気温は保たれているのです。
ですが、温室効果ガスが増えると吸収される熱が増えるため、地球の気温が上昇してしまいます。
温室効果ガスには二酸化炭素やメタンなどがありますが、人間の活動により排出された温室効果ガスのうち、76%が二酸化炭素です。
出典:温室効果ガスインベントリオフィス 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
温室効果ガスの中でも、二酸化炭素の増加による影響が最も大きいと言えます。では、なぜ二酸化炭素が増えているのでしょうか。
産業革命がきっかけ
地球の二酸化炭素増加は産業革命から始まりました。
産業革命以降、石炭・石油・天然ガスといった化石燃料の燃焼が増加したため、二酸化炭素の排出が加速。さらに農地や土地の開発、人口増加による木材需要が増加したため、森林伐採が進みました。
二酸化炭素を吸収してくれる植物が減少したため、さらに大気中の二酸化炭素が増えてしまったのです。
下の図が示すように、世界の二酸化炭素排出量は産業革命以降、急激に増加しています。
出典:IPCC第五次評価報告書特設ページ
二酸化炭素濃度と平均気温が上昇している
二酸化炭素排出量の増大に伴い、大気中の二酸化炭素濃度が増加しました。
およそ200年前、産業革命が始まる前の地球の二酸化炭素濃度は約280ppmでしたが、2013年には400ppmを超えています。
出典:温室効果ガスインベントリオフィス 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
そして二酸化炭素濃度の上昇に伴い、地球の平均気温も上昇しています。
IPCC第5次評価報告書によると、1880年から2012年の間に地球の平均気温は0.85℃上昇しています。
このままだと、地球の平均気温はどこまで上がるのでしょうか?
2100年までに最大4.8℃上昇
もしこのまま二酸化炭素排出量が増加し続けた場合、2100年までに地球の平均気温が最大で4.8℃上昇する可能性があります。
出典:出典:温室効果ガスインベントリオフィス 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
ここまで地球温暖化が進行した場合、異常気象や大気汚染などの災害が増加して、地球は人間が住めない星になってしまうかもしれません。
具体的にどのような被害が予測されるのでしょうか?
地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響
地球温暖化が進行すればするほど、さまざまな問題を引き起こします。現時点でも人間だけでなく、地球上に暮らすあらゆる生物に甚大な被害をもたらしています。
さらに地球温暖化が進行すれば、被害もどんどん拡大していくでしょう。
ここでは、主に懸念されている以下6つの悪影響についてご紹介します。
- 異常気象
- 大気汚染
- 海洋の酸性化
- 砂漠化
- 酸性雨
- 生態系の破壊
異常気象
すでに地球温暖化の影響を受け、異常気象が増加していると考えられています。
地球の気温が増加することで、海や湖・河川から蒸発する水分が増え、台風やハリケーンの大型化や豪雨の増加が起こってしまうのです。
国立研究開発法人海洋研究開発機構と国立大学法人北海道大学の発表によると、気温が1℃上昇するごとに可降水量が11~14%増加するそうです。
また、二酸化炭素の増加により大気のバランスが崩れることで、熱波や寒波、大雨や少雨の振れ幅が大きくなります。
多くの地域では、熱波や大雨に襲われる機会が増えますが、一部地域では逆に寒波や少雨に見舞われる機会が増えるのです。
ここからは、すでに起こってしまった異常気象とその被害についてご紹介します。
平成30年7月豪雨
最初にご紹介するのは広島県と岡山県を中心に、西日本全体を襲った「平成30年7月豪雨」です。
6月28日から7月8日にかけて記録的な大雨となり、7月の月降水量が平年値の4倍となる地点がありました。
死者223名、行方不明者8名、家屋の全半壊等20,663棟、家屋浸水29,766棟など、甚大な被害をもらたしました。
当時は連日報道されていたため、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
2005年8月ハリケーン・カトリーナ
2005年8月26日、アメリカで「ハリケーン・カトリーナ」が発生しました。
このハリケーンにより、1800人以上が死亡。損失は約1600億ドル、日本円にすると当時の為替で約17兆6000億円です。
2014~2015年タイの少雨
一方、2014~2015年のタイは少雨に見舞われました。2014年1月からの18ヶ月の降水量は、タイのほとんどの観測地点で平年を下回りました。
とくにタイ北西部のチャオプラヤ川上流やタイ北東部のラオスとの国境付近では、2015年5月から6月の2ヶ月間の降水量が平年の40%以下の地域も。
ダムの貯水量が低下して断水となった地域が出たり、農作物作つけの延期が政府から呼びかけられたりするなど、大きな被害をもたらしました。
このように地球温暖化が進むに連れて、さまざまな異常気象が増加し、甚大な被害をもたらします。
少しでも被害を減らすためには、地球温暖化の進行を食い止める必要があります。
大気汚染
続いては大気汚染です。地球温暖化の主な原因である化石燃料の燃焼により、二酸化硫黄や窒素酸化物などの有害物質が放出されます。
WHOのデータによると、10人中9人が高レベルの汚染物質を含む空気を呼吸し、毎年約700万人の早期死亡が引き起こされています。(化石燃料の燃焼以外による大気汚染も含む)
大気汚染は肺がんや呼吸器感染症など、さまざまな疾患を増加させ、私たちの健康に大きな悪影響をもたらすのです。
海洋の酸性化
海は二酸化炭素を吸収しています。大気中の二酸化炭素が増えることで、海に吸収される二酸化炭素が増え、海洋の酸性化が進行してしまうのです。
海洋の酸性化が進行すると、海洋の生態系に大きな影響を与えます。
海洋の酸性度は、産業革命以前と比較して26%上昇。
生物学的に持続可能な水準にある魚類資源の割合は1974年の90%から、2015年には67%に減少しました。
このままでは海で暮らす多くの種が絶滅する可能性があります。
また、二酸化炭素を吸収してくれるサンゴ礁や植物プランクトンの生態に、悪影響をもたらす可能性も懸念されています。
もしサンゴ礁や植物プランクトンが減少した場合、吸収される二酸化炭素が減少してさらに地球温暖化が進行してしまうでしょう。
さらに、海中の酸素が薄くなるため、海中に暮らすあらゆる生物の生態を破壊しかねません。
砂漠化
砂漠化も地球温暖化により進行してしまいます。
地球温暖化により少雨の地域はさらに降水量が少なくなり、蒸発する水分がさらに増えるため、乾燥地帯がさらに広がると考えられているからです。
砂漠化が進むと、人が居住できる土地や農地として使える土地が減少。土地の劣化により世界の食料生産が2035年までに12%減少すると予測されています。
さらに乾燥地帯では、水資源が減少することで、飲水が不足する可能性も指摘されています。
一度砂漠化してしまった土壌からは栄養分も失われるため、回復させるのはとても困難です。
そして、動植物の住み家も減らすため、生態系の破壊にもつながってしまうなどさまざまな被害をもたらします。
酸性雨
化石燃料の燃焼により発生する硫黄酸化物は、大気中で硝酸になって雨や雪に溶けて降って来ます。これが酸性雨です。(他にも工場などからの排気も酸性雨の原因です)
酸性雨は、直接植物を枯らしたり、土壌を酸性化させることで植物を枯らしたりします。
二酸化炭素を吸収してくれる植物が枯れることで、より地球温暖化を進行させてしまうのです。
また、河川も酸性化させるため、水中に住む生物にも悪影響をもたらします。
生態系の破壊
IPCC第4次評価報告書によると、平均気温が1~3℃上昇することで、最大30%の種が絶滅するリスクがあります。
そして平均気温の上昇が4℃を超えると、40%以上の種が絶滅する可能性が指摘されています。
広範囲でサンゴが死滅することで、海洋の酸性化が進行。さらに地球温暖化も進行してしまいます。
また、地球温暖化を進行させることで、森林火災のリスクが高まり、植物を減らして動物の住み家を奪うなど生態系の破壊を加速させます。
他にも、蚊などの感染症を媒介する生物の分布が変化することで、感染症が拡大することも懸念されているのです。
人類の行動により、多くの生物を絶滅に追い込み、さらには自分たちにも甚大な被害をもたらしてしまうかもしれません。
これまでの国際的な地球温暖化対策
ここまでご紹介してきたように、地球温暖化が進行することでさまざまな被害が起こりかねません。
地球温暖化は地球規模で起こっているため、地球温暖化を食い止めるためには、世界中の国々が協力しあって対策を進めなければならないのです。
そんな中、20年以上前から国際的な地球温暖化対策が行われています。
ここでは、これまで行われてきた国際的な取り組みの流れについて順にご紹介します。
- 国連気候変動枠組条約
- 京都議定書
- カンクン合意
- パリ協定
- 国連気候行動サミット2019
国連気候変動枠組条約
1992年『国連気候変動枠組条約』が採択。この条約には196ヶ国・地域が参加しました。
究極の目的として「大気中の温室効果ガス濃度の安定化」を掲げ、「温室効果ガス削減計画の策定・実施、排出量の実績公表」を締約国の義務にしました。
ここから国際的な地球温暖化対策が少しずつ始まっています。
京都議定書
国連気候変動枠組条約の実効性を高めるため、1997年に『京都議定書』が採択されました。
京都議定書は、先進国のみが排出削減義務を負い、第一約束期間(2008年~2012年)と第二約束期間(2013年~2020年)に別れます。
- 第一約束期間(2008年~2012年)は日本・EU・ロシア・オーストラリア等が参加し、アメリカは不参加
- 第二約束期間(2013年~2020年)はEU・オーストラリア等が参加し、日本・ロシア・ニュージーランドは不参加
パリ協定
京都議定書は2020年までの枠組でした。
2020年以降の枠組を決めるために、2015年に『パリ協定』が採択されました。
パリ協定のポイントは以下のとおりです。
- 主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新、その実施状況を報告し、レビューを受ける
- 先進国が資金の提供を継続するだけでなく、途上国も自主的に資金を提供
- 5年ごとに世界全体の進捗状況を把握する仕組み(グローバル・ストックテイク)の導入
- 世界共通の長期目標として、2℃目標のみならず1.5℃へ向けた努力
- イノベーションの重要性を位置づけ
- 協定の発効要件に国数(少なくとも55ヶ国)及び排出量(少なくとも55%)を用いる
国連気候行動サミット2019
そして2019年『国連気候行動サミット2019』が開催。
アントニオ・グテーレス国連事務総長が、地球温暖化による危機がより深刻化し、このままでは取り返しのつかないことになると、参加を呼びかけました。
国際連合広報センターでは、以下のように呼びかけています。
全世界の温室効果ガス排出量は記録的な水準に達し、しかもピークに達する気配を全く見せていません。記録が残る中で、過去4年間は歴史上最も暑い4年間となり、北極圏の冬の気温は1990年から3°Cも高くなっています。
海水面は上昇し、サンゴ礁は死滅へと向かっています。私たちは大気汚染や熱波、食料の安定確保に対するリスクの高まりを通じて、気候変動の健康に対する影響が生命を脅かすほど大きいことを認識し始めています。
最新の分析を見ると、私たちが今すぐに行動を起こせば、12年以内に炭素排出量を削減し、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ2°Cよりもはるかに低く、さらに場合によっては最新の科学で求められる1.5°Cの水準にまで抑えられることがわかっています。
このように、地球温暖化をストップして地球環境を守るために、国際的な取り組みが行われてきました。
ですが、二酸化炭素の排出量は増加し続けています。このままでは、地球が住めない星になってしまうかもしれません。
では、地球温暖化を止めるために、具体的に何をしなければならないのでしょうか?
地球温暖化改善に向けて、具体的に何をしなければならないか?
最後に二酸化炭素排出の削減に向け、具体的に必要なことと、私たちにできることをご紹介します。
地球温暖化を食い止めるため、二酸化炭素排出量を減らすには、国際社会と一人ひとりの行動が重要です。
再生可能エネルギーの普及が急務
二酸化炭素排出量を削減するには、風力・太陽光・水力などの再生可能エネルギーによる発電の普及が急務です。
日本全体の電源構成のうち、石油・石炭・天然ガスによる火力発電の割合は、2014年が87.9%、2019年が75%でした。
この火力発電の割合減少は再生可能エネルギーの普及と原子力発電の再開が大きな要因です。再生可能エネルギーによる発電の割合は、2014年が12.1%、2019年が18.5%と増加しました。
そして原子力発電は2014年の0%から、2019年の6.5%へと増加しています。
原子力発電も二酸化炭素排出削減につながる発電方法ですが、東日本大震災による事故のように安全面に不安があります。
一方再生可能エネルギーなら、安全面へのリスクも低い上、二酸化炭素も排出しません。
日本政府も再生可能エネルギーの主力電源化を進めています。2030年には再生可能エネルギーによる発電割合を22~24%まで拡大させ、火力発電を56%まで縮小させる方針を打ち出しています。
このまま再生可能エネルギーによる発電が普及し続ければ、二酸化炭素排出量も削減できます。
私たちにできること
私たちは、二酸化炭素排出量削減に向けて、どんなことができるのでしょうか?
ここでは「ZEH」「CEV」「太陽光ファンド」をご紹介します。
ZEH
ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)とは、使うエネルギー≦創るエネルギーとなる住宅です。
屋根に太陽光パネルを乗せて電力を発電しつつ、高気密・高断熱の住宅にすることで省エネします。
このように太陽光で発電された電力を使ったり、使用電力を減らしたりすることで、火力発電の発電量を抑えることに繋がります。
今なら「ZEH補助金」もあるため、上手に使えれば、経済的なメリットも大きいです。
CEV
CEVとはクリーンエネルギー自動車のこと。クリーンエネルギー自動車は、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車のような、化石燃料の消費を抑える車のことです。
化石燃料の消費を抑えられるため、一般的な車に乗るよりも地球温暖化の進行を抑えられます。
こちらも国が「CEV補助金」を用意し、普及を後押ししています。
太陽光ファンド
資産運用をしながら再生可能エネルギーの普及に貢献する方法もあります。弊社では「ソライチファンド」を取り扱っております。
固定価格買取制度により、20年間の買取単価が安定しているため、20年間の安定収入が見込めること大きな特徴です。
まとめ 地球温暖化は最も緊急で重要な問題
現在地球は貧困や経済格差など、さまざまな問題を抱えています。その中でも、私たちが暮らす美しい地球を守るため、私たちの子孫が豊かに暮らせる環境を維持するためにも、世界中の国や地域、そして一人ひとりができることから改善に取り組まなければなりません。