地球温暖化を止めるため私たち個人にできること|対策の一例をご紹介

 

この記事の目次

長らく問題視されている地球温暖化は、異常気象や生態系の破壊をもたらし、気温上昇による陸地の減少や伝染病拡大などの原因となります。

地球温暖化は温室効果ガスが増えることで進行し、私たちや私たちの子孫が暮らす地球を急速に蝕んでいくのです。

ここでは、地球温暖化を招く温室効果ガスを減らすため、ひいては私たちの地球を救うために個人でもできる対策をご紹介します。

1.地球温暖化はなぜ起こるの?

地球温暖化は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスにより引き起こされます。

温室効果ガスの役割は、太陽光によって地表が温められたのち、地表から放出される熱を大気にとどめて地球の気温を保つことです。

しかし、温室効果ガスが増えるほど大気にとどめられる熱は増加し、本来は宇宙空間に放出されるはずだった熱まで大気中にとどめてしまうのです。

このまま二酸化炭素排出量が増加した場合、2100年までに地球の平均気温は最大4.8℃上昇する可能性があると考えられており、異常気象や砂漠化など深刻な悪影響をもたらすものと予測されています。

詳しい地球温暖化のメカニズムや、地球温暖化がもたらす悪影響は以下記事で解説しており、本記事とあわせてご参照いただくことで地球温暖化への理解をさらに深めていただけます。

2.地球温暖化対策のため私たち個人にできること

実は、地球温暖化に対して私たち個人が講じられる対策は数多くあります。ここでは、個人でも取り組める地球温暖化対策の一例をご紹介します。

2-1.ZEH・住宅用太陽光発電

ZEH(ゼッチ)は、断熱性能を高めて再生可能エネルギーを導入し、エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅を指す言葉。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)から文字を取った用語で、言葉を換えると「エネルギーの自給自足」を目標とする住宅のことです。

以下の表でも示されている通り、ZEHは再生可能エネルギーを加味しない場合の省エネ率が20%、再生可能エネルギーを加味した場合の省エネ率が100%以上になるよう、要件で規定しています。

省エネ率100%とは、電力の消費分を発電で補うなどの方法により、実質的なエネルギー消費量がゼロになる状態を指します。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「ZEH ロードマップフォローアップ委員会とりまとめ」

ZEHのほかに挙げられている定義は、それぞれ以下のイメージです。

分類 概要
ZEH+ 再エネを加味しない省エネ率がより高く、外皮性能の強化・HEMS(高度エネルギーマネジメントシステム)・電気自動車の活用設備のうち2つ以上を導入したもの
Nearly ZEH 再エネを加味した省エネ率はZEHより低いが、省エネ率が75%以上100%未満であり、再生可能エネルギーを導入しているもの
Nearly ZEH+ Nearly ZEHの要件に加えて、外皮性能の強化・HEMS(高度エネルギーマネジメントシステム)・電気自動車の活用設備のうち2つ以上を導入したもの
ZEH Oriented 都市部狭小地に建設されており、省エネ率20%以上を満たしたもの

ZEH Orientedを除き、いずれも再生可能エネルギーの導入が必須条件として設けられており、基本的には家屋の屋根に太陽光発電設備を設置する形でエネルギー創出を行います。

これにより、設置者自身は電気代節約の観点からメリットがあり、より大きな視点では再生可能エネルギーの普及による二酸化炭素の排出量削減に効果を発揮するのです。

副次的なメリットとして、ZEHは省エネ化の過程で優れた断熱性能を獲得しているため、季節を問わず居住空間における快適性の維持にもつながります。

なお、ZEHでなくても、住宅に太陽光発電設備を取り付ければ二酸化炭素の排出量削減は期待でき、再生可能エネルギーの普及に貢献できます。

ZEHのように実質的なエネルギー収支をゼロにすることは難しいものの、光熱費を抑えつつ個人が地球温暖化の抑制に貢献できる取り組みです。

「環境に良い・悪い」と議論になることも多い太陽光発電は、実際のところ建設場所や廃棄方法によって環境に悪影響をもたらすこともあります。

太陽光発電が環境にもたらすメリットやデメリットについては、以下記事でご紹介しているので、太陽光発電の導入をご検討中の方はご参照ください。

2-2.CEV(クリーンエネルギー自動車)

CEV(クリーンエネルギー自動車)は、以下に該当する二酸化炭素の排出量が少ない自動車を指す言葉です。

分類 概要
電気自動車 ガソリンを使わず、バッテリーにより駆動する自動車
プラグインハイブリッド車 ハイブリッド車と電気自動車の両方の特性を持つ自動車
燃料電池自動車 燃料電池を搭載し、水素を補給することで走行する自動車
クリーンディーゼル車 ガソリン車より燃費効率に優れ、有害物質の排出が少ないディーゼル車

これらに分類される自動車に乗ることで、一般的なガソリン車に比べて化石燃料の消費を抑えられる、またはまったく消費せずに走行できるため、地球温暖化の進行抑制に貢献できます。

2020年現在、CEVを購入するにあたって「CEV補助金」を利用できるため、金銭的な負担を軽減しつつ導入可能です。

なお、CEVの導入が難しく、一般的な自動車に搭乗する場合であっても、以下のような工夫をすることで二酸化炭素の排出量は削減できます。

  • 急発進・急加速をしない
  • 必要のない積荷は降ろしておく
  • タイヤは適正空気圧を維持する
  • 移動距離が短い場合は徒歩・自転車で移動する

二酸化炭素の排出量は、燃費効率と相関関係にあるため、二酸化炭素の排出量を抑えるために上記の取り組みをすれば燃料代の節約にもつながります。

2-3.太陽光発電ファンド

ZEHや住宅用太陽光発電の導入が難しい場合でも、個人が比較的少額から再生可能エネルギーの普及に携われる選択肢が太陽光発電ファンドです。

太陽光発電ファンドは、複数の出資者から資金を集めて太陽光発電事業に投資し、売電収入に基づく収益の一部を分配する金融商品を指します。

弊社が提供する『ソライチファンド』は、賃貸型スキームと呼ばれる仕組みをとっており、以下のような流れで「出資~出資者への分配」が行われます。

太陽光発電ファンドの仕組み(運用の流れ)
  1. 出資者(投資家)が営業者(合同会社)に出資
  2. 出資金をもちいて営業者が太陽光発電設備に投資
  3. 営業者が太陽光発電設備をオペレーターに賃貸
  4. オペレーターの運用のもと、発電された電力は電力会社に売却
  5. 売電量に応じて、オペレーターは売電収入を獲得
  6. オペレーターが営業者に対して、賃借料を支払い
  7. 運営費用と内部留保を差し引いて出資者に分配

このように間接的に太陽光発電設備の運用に携われるため、再生可能エネルギーの普及、ひいては二酸化炭素の削減に寄与できます。

また、出資にともない分配金を受け取れるため、地球温暖化の抑制に貢献できるだけでなく、経済的なリターンを得られるメリットもあります。

2-4.その他、日常に取り入れられる対策

ここまでに解説した、個人でも取り組める地球温暖化対策は、いずれも数十万円、数百万円単位の費用が発生します。

いきなりまとまったお金をかけるのではなく、もっと手軽な対策を日常生活に取り入れたいと考えている場合には、より小さな金額から実践できるつぎのような取り組みから始めることを推奨します。

  • できる限り公共交通機関を利用する
  • 照明は白熱電球からLEDに交換する
  • 冷暖房に頼るまえに、服装を工夫する
  • 遮光・断熱効果のあるカーテンを利用する
  • 電化製品を省エネ対応のモデルに交換する
  • 買い物袋を持参して、レジ袋の利用を減らす
  • 冷蔵庫にものを詰め込みすぎないよう注意する
  • 入浴時はシャワーより湯船のお湯を優先して使う

どの対策も大きなお金は要らず、すぐにでも始められます。下記表の通り、私たちの家庭から排出される二酸化炭素の半分近くは、照明・家電製品や冷暖房の利用など身近なところから生じるものです。

出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

長期的に1つひとつの積み重ねを続けることで、総排出量を少しずつ減らせます。

まずは実践できる範囲から、地球温暖化抑制のために行動を起こすことをおすすめします。

3.日本で行われている地球温暖化の対策

日本における地球温暖化対策を取りまとめた「地球温暖化対策計画」では、大きく5つの部門に分けて対策・施策を講じていくと言及しています。

部門 施策の一例
産業部門
  • 低炭素社会実行計画の実施
  • 設備・機器の省エネ化とエネルギー管理
業務その他部門
  • 建築物・機器の省エネ化
  • エネルギー管理の徹底
家庭部門
  • 国民運動の推進
  • 住宅・機器の省エネ化
運輸部門
  • 次世代自動車の普及
  • 公共交通機関の利用促進
エネルギー転換部門
  • 再生可能エネルギーの最大限の導入
  • 火力発電の高効率化

参考:環境省「地球温暖化対策計画の概要」,「地球温暖化対策計画」

中期目標としては、日本国内における排出量の削減・吸収量の確保によって、2030年度時点で2013年度比26%減の水準を目指しています。

なお、二酸化炭素について解説されるときに使われる「吸収」という表現は、森林による二酸化炭素の吸収を指しており、吸収量確保のための施策としては森林保全や都市緑化などが挙げられます。

4.世界で行われている地球温暖化の対策

2020年度現在における、主要な地球温暖化対策の枠組みは「パリ協定」です。パリ協定では、世界全体の目標として大きく2つの指標が掲げられています。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して2℃より低く保ち、1.5℃に抑える
  • 温室効果ガス排出量を頭打ちさせ、21世紀後半は排出・吸収量のバランスを取る

目標を達成するため、すべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新し、報告した実施状況に対してレビューを受けるなどの取り組みがなされます。パリ協定のほか、これまで行われてきた世界的な地球温暖化対策は「地球温暖化の現状・悪影響・対策の歴史。このままでは地球が住めない星に?」でも解説しています。

5.まとめ

二酸化炭素が増加し続ければ、2100年には気温が最大4.8℃上昇し、異常気象や生態系の破壊がより進行してしまいます。

2019年には世界で初めて、地球温暖化を原因としてオーストラリアのげっ歯類が絶滅に追い込まれたことが確認されており、2020年時点でも絶滅が危ぶまれている動物は数千種類にのぼります。

私たち個人が、自身あるいは子孫のために住みやすい地球を維持できるよう行動を起こし、本格的に地球温暖化へ対策しなければならないフェーズを迎えたといえるでしょう。


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